原田龍二が沖縄で恐怖体験!「無知な僕への洗礼だった」真っ黒な目を持つ100歳の老婆の正体
脳にこびりついて離れないお婆さんの目
僕らはその後も聞き込みを続けました。 すると、現役で神女をやっている方はもう1人しかいないと教えてもらったんです。そして、その方はその日は留守で会えないと。 「では、引退した神女の方はいらっしゃいますか?」と、僕は重ねて聞いたんですね。すると、その方が「引退した女性はいます」と。 「もともとは神女で、イザイホーにも参加した島に残る最後の人。そのおばあちゃんは……」と所在を聞いて、鳥肌が立ちました。だって、そのおばあちゃんっていうのが、なんと、さっき僕をすごい目で睨んできた方だったことが判明したんです……。
僕は急に怖くなりました。あぁ、もうこれ以上は無理だと、取材も打ち切りにしました。 あのお婆さんの僕を見る目は、人を見る目ではなかった。何かを射抜くような、まるで呪いをかけてくるような目だったんです。いまでも脳にこびりついて離れない、真っ黒な目。 お婆さんが僕をあの目で見た意味は「来るな」というメッセージで、僕らを拒絶していた。「イザイホー」は門外不出の儀式で、よそ者が簡単に触れてはいけない世界なんだと、それをはっきりと悟りました。
よそ者が触れてはいけない“アンタッチャブル”
後々知ったんですけど、そのお婆さんは地上波のテレビ番組にも出たことがあるし、ほかのYouTubeにも出たことがある、そこそこ知られている方だっていうことがわかったんです。 しかも、スピリチュアルだったり、オカルト系の番組ではなく、ごくごく普通の番組。それも、島の普通の高齢者として。 だけど、僕はお婆さんのすごい能力を垣間見てしまっているから、普通のお婆さんとはとても思えない。 何度も沖縄に行ったことがありましたけど、今回の旅で、自分がどれだけ沖縄について勉強不足だったかを思い知らされました。 よそ者の人間が簡単に触れてはいけない、“アンタッチャブル”な風習や神聖な場所というのが沖縄にはたくさんあるし、それをいまも守っている人たちがいる。神女や祝女やユタという特別な能力を持つ人もたくさんいる。 お婆さんから向けられたあの目は、無知だった僕が受けるべき洗礼だったのかなと思っています。 ◇ 前回の心霊スポットをめぐるエピソードとは毛色がまったく違う、知る人ぞ知る沖縄の別の顔であった……。 新澤 遥=写真 ぎぎまき=取材・文
OCEANS編集部