不動産の相続税はいくらになる? かからない場合も? 計算方法や税金対策を紹介
4. 不動産の相続税の計算例
不動産を相続した場合、相続税がどのくらいかかるか見ていきましょう。 ■条件 状況:父の不動産を妻と息子が相続(相続人は妻と息子2人、相続財産は不動産のみ) 家族構成:父母と長男は同居、次男は他県に居住 路線価:400千円 土地面積:300㎡ 自宅家屋:固定資産税評価額1,000万円 非課税財産:先祖代々の墓 債務:150万円(未払いの税金や入院費など) 葬儀費用:200万円 7年以内に行われた生前贈与の額:550万円(暦年課税を選択) ■計算例 ①正味の遺産総額を算出する 土地:400千円 × 300㎡ = 1億2,000万円 家屋:1,000万円 × 1.0 = 1,000万円 正味の遺産総額 = 土地1億2,000万円 + 建物1,000万円 - 債務150万円 - 葬儀費用200万円 + 生前贈与加算550万円 = 1億3,200万円 ②課税遺産総額を算出する 課税遺産総額 = 1億3,200万円 - 基礎控除4,800万円(3,000万円 + 600万円 × 3人)= 8,400万円 ③各法定相続人の法定相続分に応ずる取得金額を計算する 法定相続分は、妻1/2、長男1/4、次男1/4 妻 8,400万円 × 1/2 = 4,200万円 長男 8,400万円 × 1/2 × 1/2 = 2,100万円 次男 8,400万円 × 1/2 × 1/2 = 2,100万円 ④相続税の総額を計算する 妻 4,200万円 × 20% - 200万円 = 640万円 長男 2,100万円 × 15% - 50万円 = 265万円 次男 2,100万円 × 15% - 50万円 = 265万円 相続税総額 = 640万円 + 265万円 + 265万円 = 1,170万円 ⑤各相続人の相続税額を計算する 妻 1,170万円 × 4,200万円 / 8,400万円 = 585万円 585万円 - 配偶者の税額軽減額585万円 = 0円 長男 1,170万円 × 2,100万円 / 8,400万円 = 292.5万円 次男 1,170万円 × 2,100万円 / 8,400万円 = 292.5万円 なお、小規模宅地等の減額適用ありの場合には、土地の評価額が1億2,000万円 - 1億2,000万円 × 0.8 = 2,400万円となります。 土地2,400万円 + 建物1,000万円 - 債務150万円 - 葬儀費用200万円 + 生前贈与加算550万円 = 3,600万円となるため、3,600万円 - 基礎控除4,800万円(3,000万円 + 600万円 × 3人)= 0円となり、相続税は発生しません。