機動力でつかんだ初出場 進学校の城東が目指す攻撃 センバツ出場校紹介
城東(徳島)は21世紀枠で春夏通じて初の甲子園に出場する。「打撃ではなく攻撃を」を合言葉に機動力を駆使した野球を身上とする。
「バントゲーム」で対応力磨く
徳島県大会では頻繁に上位に進出するが、部員数はわずか12人。県内屈指の進学校であり練習時間も限られるが、練習メニューの多くを選手自らが考案するなど工夫を凝らし、文武両道に努めている。 昨秋の県大会では3試合連続で8点以上を奪って4強入り。準決勝で鳴門渦潮、第3代表決定戦では徳島商に敗れ、四国大会出場をあと一歩のところで逃した。
得意分野を伸ばすために、昨春に就任した新治良佑監督が取り入れたのが、犠打だけで点を取る練習「バントゲーム」だ。原則4アウト制で無死一、二塁から始め、「捕手は2球続けて同じ塁には投げられない」など細かいルールも設けている。最大で六つの部が同時に練習するグラウンドでは打撃練習がままならないことを逆手に取り、犠打の技術を磨くこと以上に、打者や走者の対応力を高める狙いがある。 鍛え上げた機動力は、ここぞの場面で生きた。昨夏の徳島大会2回戦で2ランスクイズが決まって勝利した。自らの判断で二塁から生還した加統蒼真(2年)は「球が転がった方向や相手投手の癖を確認して、スタートを切った。バントゲームで経験を積んでいるので、試合では気持ちに余裕が持てる」と練習の効果を口にする。
打率4割超えの1、2番がカギ
打線は加統と吉田優(2年)の1、2番コンビが秋の県大会でともに打率4割を超え、チームを勢いづける。主軸の白川大地(2年)は8打点と勝負強さを発揮した。岡一成(1年)も含めた強力な上位打線でチームの得点の大半をたたき出す。機動力も高い。 投手陣は中軸も担う岡と、清重登揮(2年)の二枚看板。岡は打者の手元で伸びる直球を武器に球種が豊富で、完投能力が高い。外野手兼任の清重は直球にキレがあり、秋の県大会3試合で防御率1・80と安定感がある。 主将の森本凱斗(2年)は「甲子園ではどんどん走って、しっかりと守備からリズムを作って勝つことを目標にプレーしたい」と意気込む。
卒業生に瀬戸内寂聴さん
1902年に高等女学校として開校した県立高。49年に女子校から共学となった。「雄々しき渭山 朝に仰ぎ」で始まる校歌を校訓代わりとする。普通科のみで、全校生徒は826人。 野球部(硬式)は96年創部。2019年秋の徳島県大会で3位に入り、初出場した四国大会で1勝を挙げた。部員数は12人。部訓は「野球人である前に模範的な生徒であれ」。グラウンドとともに練習場所として使う吉野川河川敷運動広場の清掃活動を続けている。 ラグビー部、男子バスケットボール部なども全国大会に出場する強豪。卒業生に瀬戸内寂聴さん(故人)ら。