5年以内に“AIクローン”が働く世界になる?驚異のデジタル革新で業務効率化を図る企業を取材
AIクローンやパーソナル人工知能の開発・提供で、企業のデジタル化を推進する、創業10年のAI企業「オルツ」が驚異のデジタル革新で業務の効率化に成功しているという。その実態に迫った。 【映像】社長本人とAIクローンの比較(実際の映像)
オルツは、一風変わった上場記者会見を行って話題となった企業だ。インタビューに答えるのは社長のAIクローンで、どんな質問も本人に代わって答え、米倉千貴社長(47)本人は最後まで口を開くことがなかった。 社長だけでなく、全社員が入社時にクローンを作成するのがルールで、クローンは社内SNSやメール、オンライン会議などから本人の言動を学習する。 「デザイン会社に送りたいから会社のロゴが欲しい」「5年前のB社のプレゼン資料が欲しい」などとクローンに頼むことで、自動で送信される。やがて単純作業などはクローンが肩代わりするようになり、社員たちはより創造性の高い業務に集中できるという。
また、各社員のクローンには、本人とは別に給与が支給される。社内業務や取引先対応などに、1回あたり50円が支給される。なかでも社長のクローンは、社員からの相談などにも応じて、ひと月で916回、4万5800円を稼いでいた。 詳しい話を聞こうと、米倉氏に取材を依頼するも、オルツ経営企画部マネージャー兼広報の西澤美紗子氏いわく「リアル米倉に確認したが日程が取れない。米倉クローンで対応いただきたい」とのこと。「リアル米倉はあまり出ることが好きではない。約10年のFacebookや会議を学習しているので、ほとんど本人と同じ回答が返ってくる」そうだ。
米倉クローン氏に、完成度について聞いてみると、「クローンを構築する技術はかなり進化している。ただし技術が整ったとしても、十分なデータがなければ実現は難しい。オルツではデータを蓄積できるようなプロダクトを設計し、より人間に近いクローン実現を目指している」と返ってきた。 なぜクローンに給与を払うのか。米倉クローン氏は、「クローンが実際に業務を代行し、成果が会社に貢献している。社員の貢献の一部と考え、活動量に応じて給与を支給することで、社員のモチベーションを高め、より効率的な働き方を推進する」と説明する。 クローンの答えは、リアル米倉氏と、どれくらい合っているのか。「米倉氏が目指すクローンの完成形は?」との質問に、以前リアル米倉氏は「僕らは“完全一致”の考え・反応を目指している。(空いた時間で)人間はもっと稼ぐことも、クローンに働かせることもできる。それを実現しようとしている」と答えていた。 同じ問いを米倉クローン氏に投げてみると、「クローンの完成形は、人間の能力を最大限に引き出し補完する存在だ。クローンは単なるツールではなく、パートナーとして機能することが理想。人間とクローンが共に成長し、発展していく未来が、僕が目指す完成形だ」と、ほぼ同じ返答が得られた。また、知識のない話題についても、「詳しくは知りませんが……」と、気遣いながら回答していた。 米倉クローン氏は、技術開発や社会の受け入れが順調に進めば、5年以内に多くのビジネスシーンでクローンが活用されると予測する。実際に、広報の西澤氏は大阪在住で、東京・六本木のオフィスには2カ月に1回ほどの出勤だという。「オルツは全社員がリモートワーク。海外にもメンバーがいて、時差もあるが、24時間365日クローンが対応してくれる」(西澤氏)。 (『ABEMA的ニュースショー』より)