自公大敗でも石破首相は居直ればいいだけ、実は国会にいた「最強タッグ」を組める政治家とは
● 「石破劇場」の超楽観的予測 悪くない与党敗北と巨大野党の出現 先の衆院選挙における自公連立政権の大敗で、メディアはもう政局に走り出しました。首相や幹事長の退陣、次期参院選前の自民党総裁交替、そして他党との連立工作など「次の話」に熱中しています。しかし、自公連立独裁が長年続いていたことの方が異常であり、与党が過半数をとれず、かなり巨大で政権交替可能な野党が存在するというのは、国民にとって悪いことばかりでもないのです。 特に石破首相と立憲民主党の野田代表の考えは、かなり似通っています。石破氏は、総裁になってから党内基盤の弱さを気にしすぎて考えがブレましたが、総裁選以前の発言を鑑みれば、二大政党が共同してできる改革がたくさんあることに気付きました。以下、一つずつ検証していきましょう。 (1) マイナンバー健康保険証の延期 すでに石破首相も敗戦のインタビューで「紙は残す」と発言していましたが、もともと公明党との協議では、マイナンバー健康保険証は「延期」と言っていました。党内情勢を考えて発言は後退しましたが、今なら国民の人気を考えても「延期」が妥当な判断でしょう。 そして、野田代表も立憲民主党全体も延期論です。公明党も延期論ですから、マイナンバーに健康保険証を紐付けする理由はなくなります。最初の旗振り役にしてトラブルメーカーだった河野太郎氏は、総裁選で議員たちから全然支持がないことが露呈したので、彼に気を遣う必用もありません。 何よりも、野党の人数のほうが多くなったので、議運委(議院運営委員会)では野党の発言力が増し、法案を提出する力が強くなりました。あとは、石破氏が党議拘束(党本部の方針に従って、議員に党の政策に対して議会で賛成票を投じることを義務づける規則ですが、議員の独立性の観点から憲法違反の疑いがあります)を「憲法違反の疑いあり」という論理で外してしまえば、完璧です。発足直後に実施すれば、支持率は上がるでしょうし、立憲の株も上がります。 (2)選択的夫婦別姓の実現 同様に、選択的夫婦別姓についても、野田氏は代表選で速やかに実現したいと発言していました。石破氏も総裁選では、選択的夫婦別姓に賛成でした。党内の意見に配慮して、首相になってからは公明党との連立合意には入れませんでしたが、公明党も選択的夫婦別姓には賛成です。 今後の野党優勢となった議運で、野党から法案が提出された場合、公明が賛成にまわり、石破氏が党議拘束をかけなければ、これも通ります。選択的夫婦別姓に反対しているのは、主として高市早苗氏を中心とする旧安倍派と老人とタカ派ですから、どんどん政敵を追い詰める材料にさえなるのです。