「物件探しや融資に奔走し」元Jリーガー・永里源気 長男の知的障がいと自閉スペクトラム症をきっかけにデイサービスを開設した第二の人生
永里さん:発達障がいがあるお子さんのなかには、できないことに対して劣等感を持ってしまったり、周りの人からネガティブな発言をされたりすることもあるんです。たくさんの成功体験を積んで自信を持って日常生活につなげることが大事だと考えているので、結果だけではなく、そこまでのプロセスに対して「この部分ができたよね!すごいじゃん!」と言うことを心がけています。サッカーの指導をするときも、「こういうところができていないから、こういうプレーをしたほうがいいよ」ではなくて、どういうところがよかったかを具体的に伝えるようにしていて。ほめてばかりいるので、テンションの高いコーチだと思われているかもしれません(笑)。デイサービスでの子どもたちとの関わりが、サッカースクールや運動教室で指導者として関わるときにも生きています。
自分の子どもにも、基本的にはほめまくります。いけないことをしたときも、怒鳴ったり叱ったりではなく、今やったことを冷静に説明して「これはいいこと?悪いこと?」「じゃあどうしたらいい?」と聞くようにしています。
■「18歳を過ぎても安心して通い続けられる場所を」 ──近年、障がいの有無などさまざまな違いを超えて、すべての子どもたちが同じ環境で共に学ぶ「インクルーシブ教育」という言葉を耳にする機会が増えました。大和さんを14年間育ててきて感じたことやデイサービスを運営していて思うことがあれば聞かせてください。
永里さん:大和が幼少期を過ごした鳥取では、「基本的には養護学校に行ってください。普通の学校の学習室に入る場合は、保護者の方も一緒に入ってください」と言われたんです。かかりつけのお医者さん、相談支援の人、行政の人などが面談をしてくれて、大和に合った事業所を提案してくれたり一緒に見学に行ってくれたりもして。ぼくたち家族としては、障がいの特性をしっかりと把握しているプロの先生がいるところに通えるのは、すごく安心だなと感じていたんです。