巨大化する自然災害対策に正解はある?日本も検討、強力権限の米国機関とは
日本政府が災害対策でFEMAモデルを模索?
2014年、日本政府が地震や台風、大雪などの大規模自然災害の対応を模索する過程で、FEMAをモデルにした組織の設置を検討していると報じられました。災害対策本部が設置されるまでに、内閣府や総務省消防庁、警察庁などの関係省庁間で指揮系統が一元化されず、強固な協力や連携がとりにくいという問題の解決策として、FEMAのような強い権限を持つ災害対応機関をモデルにするという案です。 しかし翌年3月、現行の仕組みが「一定程度、合理性があり、また機能していると認められる」として、従来通り各関連省庁が内閣官房・内閣府の調整の下でそれぞれ専門性を発揮して対応することで、統一的な危機管理対応官庁の創設というレベルでの改革は現時点では必要ない、という結論に達したようです。 本記事でもみてきたように、FEMAのような強力な権限をもつ災害対応専門機関があったところで、備えあれば憂いなしとそう簡単にはいかないのが現実です。 しかし、「フロリダ州よりも大きなハリケーン」が襲ってきても、米国はそれに応えられる規模の救援活動や復興支援が展開できるというのも確か…… 大きく展開するだけに、コケるとケガの具合も盛大(ハリケーン「カトリーナ」やスーパーストーム「サンディ」)という諸刃の剣ではありますが、今後も地球温暖化に伴ってますます自然現象が極端化していくなかで、災害対策が現状維持という結論のままでいいのか、日本でも引き続き検討し続けることが求められるのではないでしょうか。 ---------- 金子毎子(かねこ・まいこ) 在ブルックリン。ニューヨークの日系新聞編集長を経て、現在は国際人権団体のコンサルタントおよびフリーランスのライター、編集者、翻訳家。