【女性リーダーと業界話】 政治の世界と同じく、世界最下位レベル 自動車業界はなぜ、女性リーダーが少ないのか?
レースクイーンの存在も日本独特。
バリバリの男性社会はレースの世界でも同様だ。特に日本独特なのが「レースクイーン」(RQ)の存在である。 欧米の主要レースからRQが「女性蔑視だ」という理由で次々と消えていく中、日本では現在も「華を添える」「レースを盛り上げる」存在としてRQは欠かせない。 しかし、2018年にF1が「明らかに現代の社会規範にそぐわない」として「グリッドガール」(=RQのような立場の女性)を廃止したことで、さすがに近年は日本でもRQの存在価値や服装規定に変化がみられつつある。 90年代前半、RQの衣装といえば「ハイレグ」が主流だった。それを最初に禁止にしたのはスーパーGTである(2009年)。近年はできるだけ露出を少なくして健康的な若い女性の美しさをアピールするという観点から衣装もセクシー系→アイドル系に変化している。 セクシーな衣装が激減したのは社会全体の流れもあり、スポンサー企業の意向も大きいと考えられる。RQ専門の雑誌や写真集などもどんどん廃刊になった。 RQのハイレグをいち早く禁止したスーパーGTでは、×レースクイーン → ○レースアンバサダーに名称変更を発表。2024年4月のスーパーGT第1戦から「レースアンバサダー」として韓国人男性モデルが登場している。 日本の自動車業界は「男尊女卑」体質が長く続いて来た。女性の管理職や役員を増やそうという動きは自動車メーカーを中心に積極的にあるようだが、自動車業界=男性社会であるため女性の進出は他の産業界、政財界よりも圧倒的に難しいと感じる。 業界35年の筆者は女だが、自動車業界に女性リーダーが必須か? といわれると……答えに詰まる。 ただひとつ、筆者のライフワークでもある「乗車中の子どもの安全」については自動車メーカーの女性社員、管理職の声がもっともっとクルマ作りやユーザー啓発の場において反映されるべきだと思う。 将来の日本を支える子どもたちの安全を守るうえで、自動車メーカーが「女性目線で」やるべきことはまだたくさんあると感じている。
加藤久美子(執筆/撮影) AUTOCAR JAPAN(編集)