第2回:メインフレームのモダナイゼーションをどう進めるのか
アプリケーションのアジリティー向上 メインフレーム上でのアプリケーションのアジリティーを高めるためには、以下の2つの方法があります。 1.開発環境の改善:「Eclipse」ベースの開発環境を利用し、PC上でコーディングから単体テストまでを実施する方法です。これにより、開発の生産性が向上します。 また、開発環境を分散系と統一することで、プラットフォームに依存しない開発者を育成することも可能となり、より柔軟な要員育成を実現できます。 2.アプリケーションのモダナイゼーション:COBOLなどの既存の言語をJavaに変換し、アプリケーションのアジリティーを高める方法です。ただし、COBOL自体の生産性が低いわけではなく、適切な開発環境を整えることで十分な対応が可能です。 このようにメインフレームのモダナイゼーションは、企業のデジタル変革において重要な役割を果たします。継続利用、ハイブリッドシステム、完全移行のいずれの方法を選択するかは、企業のニーズと状況に応じて決定されます。いずれにせよ将来のシステム形態を見据えた柔軟な対応が求められます。 メインフレームは最新技術と融合し、ビジネス価値を高めながら、未来に向けて進化し続けています。悲観論を払拭し、メインフレームの持つ可能性を最大限に引き出すことや適材適所の考え方が重要です。 山下文彦 キンドリルジャパン株式会社 コアエンタープライズ & zCloud事業本部 技術理事 1980年に日本将棋連盟付属新進棋士奨励会(将棋棋士の養成機関)に入会。1990年にSI企業に入社し、運用システムの設計開発に従事。1998年日本IBM入社、2021年にキンドリルジャパンに移籍し、2024年にはKyndryl Distinguished Engineerに就任。メインフレームモダナイゼーションの専門家として、顧客のビジネスとシステムの俊敏性ならびにコスト最適化を推進している。 斎藤竜之 キンドリルジャパン株式会社 コアエンタープライズ & zCloud事業本部 メインフレームモダナイゼーション戦略ディレクター 1999年に日本IBMに入社し、2021年にキンドリルジャパンに移籍。「PMP」(Project Management Professional)、「IPMA」(国際プロジェクトマネジメント学会) 認定シニアプロジェクトマネージャー。メインフレームモダナイゼーション戦略のビジネスリーダーとして、お客さまのビジネスとシステムのモダナイゼーションを推進している。