「注文の多い料理店」ならぬ「違法の多い料理店」? ブラック過ぎるフレンチレストランの実態
●従業員はどう対策すればいい?
では、こうした事業者に対して、どのような対策がとれるのでしょうか。 【長時間労働・虚偽の労働条件、残業代未払いについて】 (1)労働基準監督署へ相談・申告 労働基準監督署に相談し、長時間労働や虚偽の労働条件について調査を依頼することが可能です。監督署は事業所に対して調査を行い、違法な場合は是正を命じることができます。 (2)弁護士への依頼 弁護士へ依頼し、不払い分につき残業代の請求などを行うことが可能です。 その場合には、自分の勤務時間や労働内容を記録しておくことが重要です。メールやライン(家族に「帰ります」と毎日ラインするなど)、出勤記録、メモ、職場の時計を毎日撮影する、自転車置き場のレシート、などなど、様々なものを証拠としてあつかうことができますので、タイムカードがないからといってあきらめる必要はありません。 【休憩時間が取れない場合】 とれていない休憩時間が労働時間であったとして、残業代請求を行うことが可能です。 【パワーハラスメント、暴言、暴力を受けた場合】 (1)民事上の損害賠償請求 パワーハラスメントにより精神的苦痛を受けた場合、民事訴訟で損害賠償を求めることが可能です。事業主、ハラスメントを行った上司個人のいずれも相手とすることができます。 身体的な暴力や精神的な苦痛に対しても、加害者および事業者に対して損害賠償を請求することができます。これは民事訴訟での対応となります。 (2)警察への通報 暴行や傷害を受けた場合、もちろん110番で警察に通報することができます。そんなことめったにないだろう、と思われる方もいるかもしれませんが、労働事件を扱っているとよく見られる経過です。刑事事件として起訴され、裁判となった場合には、裁判記録を民事損害賠償の証拠として活用することもあります。
●労働組合や弁護士に相談を
もし、こうした職場でこうしたトラブルに遭ってしまった時には、労働組合や弁護士に相談することが有効です! 会社に労働組合がある場合、労働組合を通じて問題を解決する支援を受けることができます。会社には労働組合がなかったり、あまり親身に相談に乗ってくれない場合などは、地域などの労働組合に相談することもできます。 また、パワハラや労働問題に詳しい弁護士に相談し、法的な対応を検討することも重要です。自分では気づいていない問題点などが出てくることもありますので、これは何かおかしいのでは?と思った場合は気軽に弁護士に相談していただければと思います。 【プロフィール】 田村 優介(たむら・ゆうすけ)弁護士 ブラック企業被害対策弁護団副事務局長、日本労働弁護団。残業代請求、不当解雇、パワハラなど、労働問題を多く手がける。共著「働く人のためのブラック企業被害対策Q&A」など。 事務所名 :城北法律事務所 事務所URL:http://www.jyohoku-law.com/