メルカリとリクルートはタイミーの牙城を崩せない、これだけの理由
メルカリは多様な事業展開とユーザー層に対する懸念を払拭できるかがカギ
タイミーとメルカリの違いに、ユーザー層の質があるのではないか。メルカリが「闇市」と称されることがあるのに対し、タイミーではそのような評判をほとんど耳にしない。この違いは、取引の性質と評価システムの厳格性に根ざしているのだろう。メルカリのこうしたイメージは、受け入れ側である事業者も懸念を示す可能性があると筆者はみている。 メルカリは、個人間取引のプラットフォームとして広く利用されているが、その取引はしばしば苛烈な値引き交渉やトラブルに見舞われがちだ。企業側も対策を講じているが、クレカ枠の現金化のために現金が出品されたり、偽物のブランドバッグが出品されたりなど、「闇市」と揶揄(やゆ)されることも珍しくない。 一方でタイミーは対面での仕事をマッチングするため、直接的な対話と関係構築が必要だ。このため、取引の透明性が高く、トラブルが少ないのが特徴である。 さらに、タイミーの評価システムがその違いを際立たせている点も見逃せない。タイミーでは、労働者と雇用主の双方が評価し合う仕組みが整っており、厳格な基準が設けられている。この評価システムにより、信頼性の高いユーザーが選別され、不正やトラブルを未然に防ぐことができ、評価が著しく低下するとサービスが利用できなくなる。タイミーのこの厳格な評価システムは、ユーザーの質を高める重要な要素の1つだ。 また、メルカリ本体の状況をみると、今年で参入10年目となる米国事業がいまだに大苦戦している。決済ビジネスのメルペイもようやくユーザー数が増加し、累積の赤字が圧縮されはじめているというフェーズである。 他にも同社は暗号資産の「メルコイン」を展開したり、生成AIを活用するサービスの開発をアナウンスしたりしている。良くいえば事業の多角化を模索している段階にあるといえるが、悪くいえば多方面に興味が分散しているともいえる。 すでにタイミーが高いユーザー体験を提供し続けている中、いくらメルカリには750万人の潜在ワーカーがいるといっても、その潜在ワーカー数はタイミーのユーザー数、700万人とほぼ変わらない。メルカリハロの潜在ワーカーは、すでにタイミーで働いているかもしれない。