【年金の繰下げ受給】夫婦の片方だけを繰下げたらお得って本当?「年金を賢く増やす方法」とは
妻の年金を繰下げするほうが「お得」な理由
妻の年金を繰下げするほうがお得な理由として、以下の2点が挙げられます。 ・女性のほうが平均寿命が長く繰下げの恩恵を受けやすい ・受給額が男性より低い傾向にあるため、繰下げしても税負担が少ない 女性のほうが、男性よりも平均寿命が長く、年金を繰下げすることによる増額の恩恵を受けやすいです。厚生労働省の「令和5年簡易生命表」によれば、日本人の平均寿命は男性が81.09歳、女性が87.14歳と、6年ほどの差があります。女性のほうが長生きな分、年金を繰下げして受給のタイミングを遅らせても生きているうちに年金の受給ができる可能性が高く、繰下げによる年金増額のメリットを実感しやすいのです。 また、年金受給額は女性のほうが男性よりも低い傾向にあります。国民年金は保険料を納めれば受給できるため男女差はありませんが、働いた期間や給料額が金額に反映される厚生年金は、男女で受給額に差が出やすいです。 厚生年金の男女別受給額を見てみましょう。 ・男子:16万3875円 ・女子:10万4878円 厚生年金は、男女で6万円ほどの差があります。年金受給額は女性のほうが少ないですが、その分年金に対して税金がかかる可能性が低く、年金の手取り額を増やせる可能性があります。 65歳以上の場合は年金収入が年間110万円以下であれば、全額控除対象となるため税金がかかりません。年金額を増やしても税負担を少なくできるため、妻の年金を繰下げするほうがお得なのです。 ●「遺族年金の受給」では注意が必要 夫のみ繰下げ受給をしても年金額は増やせますが「遺族年金の受給」では注意が必要です。年金を繰下げしていても、遺族年金には反映されません。そのため、夫の年金繰下げ期間中に妻が亡くなって夫が遺族年金を受給することになっても、金額は「亡くなった人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3」のままです。 高齢になると、体力面の衰えから病気にかかりやすくなります。年金繰下げ期間中に亡くなってしまうと、増額していた年金は受け取れません。年金を繰下げする際は、健康面への配慮も重要といえるでしょう。