JO1のメンバーと制作チームが語る、8TH SINGLE『HITCHHIKER』のすべて、表現への想い
数多くのダンス&ボーカルグループが生まれ、それぞれの個性を輝かせている昨今。2019年に放送されたサバイバルオーディション番組『PRODUCE 101 JAPAN』により誕生したJO1も、そんな時代を突き進んでいるグループの1つだ。 【動画を見る】8TH SINGLE『HITCHHIKER』HIGHLIGHT MEDLEY デビューは、2020年3月とコロナの流行と同時期。長い間、JAM(JO1のファン呼称)と直接会うことは叶わず、コロナ禍での活動は手探りの状態。思い通りにいかないことも多かったというが、それでも腐らず愚直に音楽と向き合い続けてきた。そんな彼らも、今年でデビュー5年目。5月29日にリリースされた8TH SINGLE『HITCHHIKER』では、これまで描いてきた作品のストーリーが新章へと突入する(同曲は初週売上70万枚超えの大ヒット作となっている)。 今回の取材では、JO1からリーダーの與那城奨、パフォーマンスリーダーの川尻蓮、ボーカルリーダーの河野純喜が集結。4年間のパフォーマンスとの向き合いかたの変化を語ってもらうと共に、今作の表現についても深く切りこませてもらった。 また、このインタビューとは別に『HITCHHIKER』プロデューサーの정유진(ジョン・ユジン)氏、「Love seeker」の作曲担当Kevin_D(D_answer)氏&コレオ担当BBTRIPPIN、「Test drive」の作曲担当NATHAN氏&コレオ担当KAITA氏にメール取材を敢行。 いかに11人が表現と本気で向き合ってきたか、感じていただけることだろう。 ―8TH SINGLE『HITCHHIKER』は、デビュー5年目の第1弾作品となっていますが、この4年間で歌やダンスとの向き合いかたは、どのように変わっていきましたか。 與那城:最初の頃は、コンセプトが決まっている作品をドンドン作りあげていっていたイメージだったんですが、最近はライブ中心に変わりましたね。 川尻:デビューしてから少しの間は、コロナ渦真っ只中。この期間は、「目で観る音楽が主流だな」と無観客ライブをしていた時期は特に感じていました。実際に会えないからこそ、ただ歩きながら音楽を聴くというよりかは、映像を目で観ながら音楽を楽しむ時代なのかなって。当時、振り付けを揃えたり、プラクティスビデオをいっぱい出したりしていたのは、より目で楽しんでもらいたかったから。有観客ライブが出来るようになってからは、目と耳だけじゃなく、さらに体感がプラスされたような感覚がありますね。 與那城:ライブを何回もやらせてもらうなかで、メンバーそれぞれが「観てくれている人に楽しんでもらえるようなライブをしたい」と思うようになっていって。そこから、ライブでしっかりとパフォーマンスを魅せられる「ライブで楽しめる」や「ライブでみんなが歌える」に重きを置いた曲調に変わっていった印象があります。 川尻:よりライブに特化したというか。もちろん、聴くだけで楽しめる曲も準備しているんですけど、よりライブで映える曲が増えてきたなって。 ―ライブに重きを置いた楽曲に変化していったのは、いつ頃になりますか。 與那城:『KIZUNA』以降かな。 河野:僕たちは、すごく歓声に憧れを抱いて育ってきたので。コロナ禍があったからこそ、盛り上げる工夫をしたり、一発ワッとなる瞬間を作ろうと考えたり、ライブに対する意識がどんどん強くなっていったんじゃないかなと思います。 川尻:いま思えば、コロナも悪いことだけじゃなかったというか。残念なことではあったんですけど、あの期間があったからこそ、今の考えかたができているとは思いますね。 ―京セラドーム公演での河野さんの呼びかけも、コロナ禍がなかったら生まれてませんもんね。 河野:そうですね。 川尻:「JAMどこだー!」って。 河野:オンラインだった『JO1 1ST Live Streaming Concert「STARLIGHT」』のときに、画面の向こうにしかJAMがいなかったから「JAMどこだー!」って言っていて。 與那城:あ、だから京セラドームで言ったのか。 川尻:わかってなくて、聞いてたの? 與那城:なんでJAMどこだって言ってんだろうって思ってた。目の前にいるじゃんって(笑)。それは、ごめん! 川尻:マジやったんや。「ボケる媒体さんじゃないでしょ」って言おうと思ったのに(笑)。 與那城:伏線回収してたんだね、今知った。 川尻:奨くんだけです、あの空間で。 與那城:俺だけポカンとしてたかも(笑)。そっかー、いい話ですね。 河野:奨くんさすがやわ。 ―話をもとに戻すと、歓声への憧れがあったからこそ、ライブや楽曲づくりに気持ちが向いていったと。 與那城:そうですね。あとは初めての有観客ライブ『2021 JO1 LIVE "OPEN THE DOOR”』のときに、ずっと連続でパフォーマンスをやった結果、「これだとプラクティスビデオと変わらないんじゃないか」という話になったのもあって。そこから「ライブとしてやる意味はなんだろう」と考え始めましたね。 河野:ずっと言ってたよね。「これじゃあMVを観るのと変わらないじゃん」って。 川尻:もちろんやっとできたオフラインライブで、いいこともたくさんありましたが、ライブとしてはダメだったなと。来てくださったかたには失礼になるかもしれないんですけど、実際にやってみてそう感じて。 與那城:MVやプラクティスビデオとは違う楽しさ、ライブ感を大事にしようと思ったのは、それがきっかけ。なおかつ、ライブ感を強くすることで「また来たい」と思ってもらえるようなライブができるんじゃないかと考えるようになっていきました。 河野:制作には韓国のかたも入るので、その良さも取り入れつつ、今では僕たちのライブへの想いを混ぜて、JO1独自のパフォーマンスを作っていってる感じですね。 ―『2021 JO1 LIVE “OPEN THE DOOR”』にも、メンバーの意見は反映されていますか。 與那城:たぶん、まだあんまり。あのときは、すでに枠組みが決まっていて、僕たちはそれを一生懸命やるような感覚だったな。 川尻:準備していただいたものを精一杯やるっていう。 河野:たしかにね。もちろん、頑張ってはいたけど。 與那城:ライブ感というよりは、踊る歌うで精一杯だったような気がしますね。「ライブとはなんぞや」って考えだしてから、みんなで「こういうライブにしたいよね」って話しあうようになり、韓国チームに伝えて。でも、なかなか意見が通らなかったり、僕たちのキャリアも浅いからこそ、そこの折り合いはすごく難しかったですね。 河野:何回もぶつかったよね。 與那城:本当に話し合いながら、回数を重ねながらだった気がしますね。 ―だからこそ、『2023 JO1 2ND ARENA LIVE TOUR ’BEYOND THE DARK’』では、みなさんで細かく意見を出して作り上げていったんですか。 川尻:「BEYOND THE DARK」が初めての歓声OKの単独ライブでしたね。公演するたびに、何か出てくるんですよ。毎回ちょっとずつ変わっていったよね。 河野:けっこう困らせてしまいましたね。 與那城:スタッフさんには申しわけないんですけど、メンバーの「もっともっといいものを」っていう探求心がすごくて。 川尻:照明もめっちゃ言ったな……。 與那城:言ったね。 川尻:暗転と明転のタイミング。「Born To Be Wild」とか、ずっと言ってたもん。あと、最初の予定だと「OASIS」が撮影可能曲だったんですよ。でも、1番ではサブステージで横になって、2番になったら交差して歌いきるっていう演出の曲を撮影したとして見返すかな?と思って。それなら、もっと動きがある曲にしようということで、お客さんの導線のところへ降りる「Touch!」を撮影OKにしました。前日か当日に変えたよね? 與那城:もともとは客席に降りる予定もなかったしね。 河野:ギリギリまで「これどうしよう」って言いながら、細かく考えてやっています。自分たちも韓国側のスタッフさんもやりたいことがありますし、言語も入り混じるから、時間がかかるんですよね。 與那城:言葉の壁が正直大変で。僕たちは「ここはこうしたほうがいいんじゃないですかね?」っていうニュアンスで伝えているんですけど、「これが嫌だから、こっちがいい!」っていうニュアンスで伝わっちゃってないかなとか。本当に限られた時間のなかで、いろいろやらせてもらうために話し合いました。