日本代表レベル向上も…「一番すごいのは誰?」 大津祐樹が考えるサッカー界の悩み【見解】
今の日本代表に不足しているポイント
オーストラリア戦に関して、大津氏は「崩し切ることに意識が傾いていたように見えた」と日本の印象について言及し、「ミドルシュートだったり、そういった脅威も相手に見せつけて、守り方の選択肢を増やすと言いますか、迷いをもたらすことが必要だったのではないか」と指摘。かつての日本代表には、ミドルレンジやフリーキックからの一撃が専売特許の選手が数多くいた。そして、現代表に不足しているポイントと言えるかもしれない。 「ひと昔前の代表で言えば、中村俊輔さんやヤットさん(遠藤保仁)、本田圭佑さんがいたりと、一振りに迫力があったが、今のメンバーは皆が技巧派が多いこともあって、パンチ力が欲しいなという印象も正直ある。プレースキックで違いを生み出す選手がこれから現れてくれたら、日本がさらに高みを目指せる鍵となるはず」 現在は、左足であればMF久保建英、右足であればMF伊東純也がキッカーを務める場面が多く、質の高いキック精度を誇っているのは間違いない一方、ゲームメイクやドリブル突破など、それぞれ最大の持ち味はキックとはまた別のプレーにある。このエリアで足を振らせれば、この距離でFKを獲得すれば決めてくれるだろう……。そういった絶対的なキッカーがピッチにいるのといないのとでは、やはり決定的な違いとなる。また、突き抜けた存在の必要性も説いている。 「10~20年前と比べても、今の代表メンバーは本当に全員のレベルが世界基準にある。当時のチームは個性が光る集団だったのに対し、今は平均値が極めて高い。その中で、飛び抜けたスター選手が出てくることが大事になってくるかもしれない。今の日本代表は非常にレベルが高い一方で、代表の顔と言えば誰? 一番すごいのは誰? と、もしアンケートを取ったら、けっこう票が割れるんじゃないかなと思う。野球の日本代表も、全員のレベルが高い中で、大谷翔平選手という圧倒的存在がいることが大きい。とはいえ、サッカーの日本代表もレベルも高くなってきているからこその嬉しい悩みですね」