渋野日向子が52位タイで「ANAインスピ」予選通過も首位とは12打差…上位浮上ポイントは「攻めて頭を使うゴルフ」
晴のち曇り、最後は土砂降りとめまぐるしく心理状態が移り変わった。今シーズン4戦目にして初めて予選突破を果たした渋野日向子(21、サントリー)だったが、満開のスマイルはお預けになった。 「ようやく今年を開幕できたというか、ようやく予選を通過できたのはすごく嬉しいんですけど、後半の自分のゴルフに関しては本当に最悪だと思うので。修正するところがたくさんあります」 米カリフォルニア州ランチョ・ミラージュのミッションヒルズCC(6769ヤード、パー72)で開催されているLPGAツアーのメジャー第2戦、ANAインスピレーションの2日目が現地時間11日に行われ、初日を2アンダーの19位タイで発進した渋野は3バーディー、4ボギー、1ダブルボギーの75と失速。予選こそ通過したものの、通算1オーバーの52位タイに後退した。 トップで出た世界ランキング3位のネリー・コルダ(22、米国)が、通算11アンダーで単独首位をキープ。渋野とは12打差があり、昨年の全英女子に続く海外メジャー2勝目は、ほぼ絶望的な状況となった。 アウトスタートだった前半は3つのバーディーを奪取。ボギーこそ2つを数えたものの、渋野本人をして「アンダーパーで回れたことはすごくよかった」と言わしめた初日からのいい流れが、2打目をピン左約2メートルにつけながらバーディーパットを外した、インの11番を境に暗転した。 力みもあってアイアンショットが左右にぶれはじめ、13番、14番、16番、17番とバンカーからグリーンを狙う悪循環に陥った。13番でボギーを叩くも14番と16番では1パットで沈めて、何とかパーをセーブして迎えた17番のショートホール。ティーショットを打ち込んだバンカーから、ピンに1メートルに寄せた瞬間にホッとしてしまったのか。パーパットは無情にもカップの左に外れた。
最終18番では深いラフからの3打目をショートさせて、グリーン手前の池へ直接入れてしまう。ボギーでしのぎたかった3メートルのパットも、カップの左に蹴られてしまった。 「バンカーからいい挽回もできたんですけど、もったいないのが多かったですね。後半にひとつも伸ばせずに4つも落としたことに関しては、自分の情けなさに腹が立ちます」 連覇がかかっていた先月のメジャー初戦、AIG全英女子オープンで屈辱的な予選落ちを喫した。本来ならば決勝ラウンドを戦う青写真を描いていた、8月22日と23日を現地に残って練習に費やして捲土重来を期した。そのときからパッティングの握りを、クロスハンドグリップに変えている。 右利きの選手の場合、右手を先に握り、さらに左手を右手の下で握るクロスハンドグリップは、石川遼ら男子のトッププロも採用している。パッティングで採用すれば両肩のラインをスクエアに構えやすくなり、加えて右手の動きも抑えられることで、方向性がアップする効果が望める。 練習などでたまにクロスハンドグリップを採用したときに、感触のよさをポジティブにとらえていた渋野は、日本へ帰らずに転戦するアメリカの速いグリーン対策として導入することを決めた。 「いままでの私はパンチが入るような、けっこう強気なパッティングだったので、速いグリーンになるとなかなかタッチを合わせにくいかな、と思っていたので。クロスハンドグリップの練習をして、この18ホールを回ってみたら、やっぱり長いパットの距離がすごく合ったんですね。ラインを出しやすい、という印象もあったので、個人的にはすごくマッチしているのかな、と」