渋野日向子が52位タイで「ANAインスピ」予選通過も首位とは12打差…上位浮上ポイントは「攻めて頭を使うゴルフ」
パッティングへ抱いていた不安が和らいだことは、さまざまな相乗効果を生み出した。アイアンショットでしっかりとピンを狙え、ティーショットも迷いなく振り切れる回数が増えてきた。結果として基準打数よりも2打少なくボールをグリーンへ乗せる、パーオンの割合が飛躍的に増えた。 「私のゴルフはパーオン率を上げていくことが重要だと思っています。パーオン率が上がればボギーの数も減りますし、バーディーを取れるチャンスも増えていくので」 AIG全英女子オープンは2日間を通じて50%だったパーオン率が、ANAインスピレーションの初日は18ホール中で12回、66.7%にあがったなかで、今シーズンで初めてアンダーパーで回った。2日目も12番ホールまででパーオンが8回と初日と同じ割合で推移していたが、たったひとつのミスが精神面で尾を引きずってしまうのがゴルフの落とし穴であり、怖さでもある。 渋野の2日目の場合は11番ホールでバーディーを逃したショックが、13番以降の6ホールでパーオンがわずか1回だけと、その後のプレーに大きな影を落とした。ロングパットでは奏功したクロスハンドグリップも、ショートパットでは実戦での経験がまだ不足している現状も浮き彫りになった。 もっとも、最後は悔しさを募らせる展開が続いたが、下ばかりを向いているわけにはいかない。AIG全英女子オープンを含めたこれまでの3試合と異なり、ANAインスピレーションでは3日目と4日目の決勝ラウンドの舞台に立てる。戦いが続くからこそ、渋野は努めて前を浮向いた。 「最後のハーフで悔しい思いをしたので、その分を取り返せるように。(決勝の)2日間は攻めるゴルフもしつつ、ちゃんと頭も使ったゴルフができるように。パッティングやショットも含めて、すべてにおいてしっかりと修正して、もうちょっと成長した姿を見せられるように頑張りたい」
日本勢では、73で回った畑岡奈紗(21、アビームコンサルティング)が1アンダーの36位につけ、河本結(22、リコー)は渋野と同じく1オーバーの52位で決勝ラウンドに進んだ。米ツアー通算3勝の野村敏京(27、フリー)、上原彩子(36、モスバーガー)は予選落ちとなった。 渋野の3日目は日本時間13日未明に、チ・ウンヒ(34、韓国)、河本と同組でインコースからスタートする。ほぼ優勝は難しい状況ではあるが、何があるかわからないのがゴルフ。渋野の挑戦はまだ終わらない。クロスハンドグリップを介して少しでも上位へ進出し、初めて経験しているアメリカ本土でのLPGAツアーへの手応えを、さらに深めていく。