今年限りで現役引退することを表明した神山雄一郎

競輪界のレジェンドとして長く一線級で活躍した神山雄一郎（56）＝栃木・61期＝が24日、東京都内で会見を行い、現役引退を発表した。史上3人目のグランドスラム（全GⅠ制覇）を達成するなどGⅠ優勝は歴代最多の16回。自転車競技でも輝かしい成績を残し、36年にわたる選手生活に終止符を打った。 【写真】23日のレース後、バイクを持ち上げる神山雄一郎 史上最多のGⅠ優勝16回、生涯獲得賞金29億円超―。競輪界の頂点に君臨し、数々の金字塔を打ち立てたレジェンド・神山雄一郎が、36年間の現役生活に終止符を打った。 「昨日（23日）まで走っていた取手を最後に、競輪選手を引退する決意をしました。本当に長い間、ありがとうございました」 前日23日の取手競輪で通算909勝目をマークしたばかりだったが、すでに心は決まっていた。「競輪が大好きで一生やり続けたいと思ったけど、1つの引き金となったのは、今年6月の函館で失格したこと。でも決めたのはつい最近」。デビュー2年目からトップレーサーのS級選手として活躍していたが、失格も影響して来年1月からA級に降級するタイミングでの決断となった。 1988年5月のデビュー戦は3連勝で優勝。93年9月に地元の宇都宮オールスターでGⅠ初制覇を果たしてスター街道を突き進み、史上3人目となるGⅠ全冠制覇のグランドスラム（GⅠが6大会になってからは史上初）も達成。自転車競技でも89年世界選手権（リヨン）のスプリントで銀メダルを獲得し、96年アトランタ、2000年シドニーと五輪にも2度出場する活躍をみせた。 ただ、競輪界の年末の大一番であるKEIRINグランプリだけは縁がなく、16度挑戦し一度も頂点に立てなかった。「正直、悔しいです。でも、そこを目指して頑張ってこられたのはよかったかな」とも話した。 「競輪は人生そのもの。強い弱い関係なく、みんな素晴らしくて、上を目指して一緒に戦えたことは自分の財産だと思っています」 会見中には思わず男泣きするシーンも見られた神山。今後については「まずはゆっくり休んで、キャリアを生かして後輩たちのためにできることがあれば」と話し、輝かしい選手人生に幕を閉じた。

■神山　雄一郎（かみやま・ゆういちろう）　1968（昭和43）年4月7日生まれ、56歳。栃木県出身。作新学院高卒業後、61回生として88年5月に花月園（現在は廃止）でデビュー（①①❶着＝完全優勝）。GⅠ初制覇は93年のオールスター（宇都宮）。99年3月に日本選手権（静岡）を制し、史上3人目のグランドスラム（全GⅠ制覇）を達成した。通算成績は2931戦909勝、2着460回、3着325回。GⅠ優勝16回、通算取得賞金29億3830万1609円は史上最多。自転車競技では96年アトランタ五輪、2000年シドニー五輪に出場した。180センチ、87キロ、血液型B。