「部下を注意する時はアメとムチが大事!」→一歩間違えると台無しになるワケ
仕事の場でもプライベートでも、相手の意見に反論したり、指摘や注意をしたくなったりという場面は必ずある。しかし、そこで伝える方法を間違えてしまうと、関係性が壊れてしまうことになりかねない。省庁会議や企業の役員会などで発言することも多いというフリーキャスターの木場弘子氏が、上手にNOを伝える方法を解説する。※本稿は、木場弘子『次につながる対話力「伝える」のプロがフリーランスで30年間やってきたこと』(SDP)の一部を抜粋・編集したものです。 【この記事の画像を見る】 ● 注意のやり方を間違えると 人間関係が台なしに 何事につけ、人に何かを注意する、考え方や行動に注文をつけるというのは簡単ではありません。 相手の失敗やミス、過ちへの指摘は、ちょっとやり方を間違えると、折角築いたこれまでの人間関係を台無しにする恐れがあるからです。特に「空気」を大切にする日本的なコミュニケーションでは、良かれと思ったことであっても、はっきり口にするのはなかなか難しいと感じます。 この場合、私がまず大切にしているのは、自分がなぜ指摘や注意をするのか、その「価値」や「意味」を相手にわかってもらう――という点です。 私は日常的に、省庁の会議や企業の役員会で発言する機会があります。こうした場合、どういう立場で参加するのかと言えば、国の会議であれば生活者の視点に立つこと。そして、私の仕事の面から国民に伝わるような広報的視点も大切です。企業の場合も同様に、ユーザーとしての立場、そして企業価値向上のための広報的な立場からの発言が多くなります。 そのためには、現状の課題をはっきりさせ、未来へ向けた新たな提案をすることこそ、自分の第一の役割だと考えなければなりません。
会議の場では、事務局案に対して「そんな感じでいいんじゃないですか」と当たり障りの無い反応をしておけば、波風は立たず議事もスムーズに進むことでしょう。しかし、それでは自分の役割は果たしたことにならず、これから決めることに新たな「価値」も「意味」も見出せなくなってしまいます。 ● 「おかしいと思います」では 一瞬にして空気が凍りつく 自分が指摘をするのは、相手に良くなってほしい、そこに新たな「価値」や「意味」を見出してほしいという「お役立ち」の気持ちが前提にあること――そうした前向きな気持ちを理解してもらうことが大切です。その上で、時には相手にとって耳の痛いことでも、外部の視点から遠慮なく伝えるようにしています。 ただし、そうした覚悟があるにしても、それをそのままストレートにぶつければいい、というわけではありません。 たとえば、誰かの意見に対しても「反対です」「おかしいと思います」などと一方的に批判をするだけでは、こちらの真意は十分に伝わりませんし、一瞬で空気が凍りついて(これは本当にコワい!)、その後の議論も決して建設的にはなりません。そうではなくて、まずは相手のことを認めた上で「この点をもう少し直したら、もっと良くなるのに」と前向きな変化を提案することが大切です。