失敗しない!素敵な庭をつくるには?家を建てる前に知っておきたい13のポイントを建築家・造園家7人が解説
9 庭を日常生活に 取り入れやすくする設計上の工夫はありますか?
せっかく庭をつくるのだったら、いつのまにか使わなくなってしまった、というのは避けたいもの。 設計段階から計画的に考えることが最も大切なことだと造園家・荻野寿也さんさんはいいます。 「私たちは“庭間”という言葉を使いますが、生活空間の一部に取り入れられるようにするのがいいと思います。そのためにはキッチンやダイニングから続く場所など、庭への動線や配置が重要です。緑を見ながら食事をしたいとか、ゲストを招いて庭で食事を楽しみたいという要望も増えていますので、室内のキッチンやダイニングからアクセスしやすいなど、一緒に使えるような場所に庭を設けるのがいちばん。また、植栽はなるべく建築の近くに植えること。遠ざけたほうがよく見えると思いがちですが、近くに樹木があるほうが木漏れ日などの自然の現象が部屋のなかでも感じられます。手入れのしやすさも含めて、日常的に庭を楽しむ工夫だと思います」
10 アウトドアで経年変化を楽しめる 素材を教えてください。
アウトドアで経年変化を楽しめる 素材を教えてください。 庭をもつ楽しみの1つが、植物の成長を含めた経年変化。「樹木自体が経年を楽しむものと考えています。そのうえで、舗装にレンガやピンコロ石を組み合わせると重厚感も出ます」と造園家・荻野寿也さん。 また「経年変化も計画的にデザインできる」というのは建築家・前田圭介さん。「経年変化をどう楽しむかを建築家と相談してあらかじめ決めておくこと。例えば、自然の緑に合わせてあえて経年変化のスピードが速いウッドデッキを選んだり、経年変化が遅い自然石を使ったり。どんな庭にしたいか、建材の扱いを含めてさまざまな時間軸を組み合わせてデザインします」。ここは建築家、造園家のアドバイスをしっかり聞いたほうがよさそうです。
11 土や砂ぼこり、虫など、家のなかの衛生面も気になります。両立させる工夫は?
「アプローチや駐車場など使用頻度の高い場所にはコンクリートを使い、なるべく裸地をつくらない」(造園家・荻野寿也さん)、「グランドカバーや苔・下草で土が見える部分を少なくすることで砂ぼこりを減らし、衛生面に配慮する」(建築家・前田圭介さん)といった配置や素材の工夫もあれば、「開口部にはプリーツ網戸を使います。虫の侵入を考えると大開口はFIXにしたほうがいい場合も多い」(建築家・高橋昌宏さん)、「境界の収め方でコントロールする」(建築家・前田圭介さん)といった設計や建材の工夫も。 とはいえ「庭は自然であるがゆえに土や砂ぼこり、虫がつくという一面もある」(建築家・前田圭介さん)のように、庭を設けるならばそれなりの覚悟は必要です。