戦力外通告を受けた人に光を!
2014年度の第一回12球団トライアウトは、あいにくの雨にたたられた。東静岡駅から草薙球場までの間を往復する無料バスは運休。一般ファンへの開放は、当初中止とされたが(天候回復後の11時に開放)、室内練習場は、黒だかりのファンで囲まれていた。 メディアや関係者でごった返していた、そのトライアウト会場に元日ハム、中日などで活躍して最多勝タイトル、最優秀救援タイトルを獲得した武田一浩氏と、元中日の左腕エースで投手コーチも務めた今中慎二氏の評論家コンビの顔があった。 「戦力外通告」的な映像企画の取材なのかと思って、遠巻きに見ていると、なにやらリーフレットらしきものを関係者や選手に配っている。その一枚を見せてもらうと「アスリートを未来へ導く、人材派遣サービス ヒューマンリンク」とある。メンバー登録→相談、面談→仕事の紹介→就業の開始→アフターフォローという手順でセカンドキャリアのお手伝いをしようという、元プロ野球選手(他プロアスリートを含む)専門の人材派遣会社のリーフレット。代表取締役は、その武田一浩氏だ。 「プロ野球選手のセカンドキャリアを考えた人材派遣会社です。年に100人以上の人がユニホームを脱ぐけれど、球団に残る人、野球に関わる仕事のできる人はごくわずか。たまたま、僕は性格的に営業が向いていたし、人との縁に救われてビジネスマンとしての第二の人生を切ることができたけれど、それは恵まれた方。多くの元プロ野球選手が次のステージに行く段階で苦労している。そこをお手伝いできないかと考えた。そもそもは、ロッテを戦力外になった山本徹矢の相談を受けたことが発端」 2013年を限りに千葉ロッテを戦力外になった山本徹矢(23)は、現在、テレビ制作会社に就職してテレビ局のADとして活躍中だが、「テレビ業界で働きたい。ADから始めたい」と相談を受けた武田氏が、就職先を斡旋したのが発端。 いっそのこと法人にしてNPBの全面協力を得た上で、本格的にプロ野球選手のセカンドキャリアに寄与できるような組織を立ち上げようと、支援者の協力を得て、昨年12月に資本金2000万円で「株式会社ヒューマンリンク」をスタートさせた。