戦力外通告を受けた人に光を!
NPBのキャリアサポートが2013年10月にフェニックスリーグに参加していた若手選手を対象にして行ったアンケート調査によると、73.9パーセントの選手が引退後の生活に不安を感じている。 不安の中身については、90.5パーセントが進路面と収入面。また引退後にやってみたい仕事については、「資格回復の上で高校野球指導者」がトップで、19.5パーセント、続いて「プロ野球監督コーチ」の16.8パーセント、「社会人、大学指導者」の16.1パーセントとなるが、4位は一般企業の会社員が9.4パーセントとなっている。 ここ数年では最高の割合で、最近の若手選手は、事業の成否が不安定な飲食業よりも、手堅い“サラリーマン”への転職を現実問題として捉えている現状が明らかになっている。確かに契約金を切り崩して飲食業に手を出して失敗してしまうケースも少なくない。だが、企業就職の道は、さらに険しく、ルートも一部保険業界くらいしかない。 この日、トライアウトを受験したのは、59人だったが、再雇用先がみつかるのは、せいぜい、5人から6人、この中からも50人強が不合格とされてポンと社会に放り出されることになる。トライアウトに誰が受かるかが、メディアの焦点だったが、武田氏が見ていたのは、その逆。このなかの何人が次の就職先がちゃんと決まっているのだろうかという点だった。 「もうここに来ている時点で、『あなたは野球ではダメでした』と通告されているようなもの。厳しい言い方だけど、いつまでも野球にしがみついていないで、さっと辞めて1日でも早く次の人生へ向けてのスタートをきったほうがいいんですよ」 武田氏のヒューマンリンクの主な仕事は、元プロ野球選手、あるいはアスリートと、そういう人材を求めている企業とのマッチアップ。正社員としての雇用を斡旋する元プロ野球選手専門の人材派遣会社だ。 ヒューマンリンクでは、まず選手一人ひとりの適正を探り、社会に適応するための基本スキルを身につけるための研修なども独自で行って、スムーズな就業に結びつけたいという。つまりトライアウトに落ちた人に光をあてる事業だ。