韓国側欠席に地元は「残念」 世界遺産登録の「佐渡島の金山」“全労働者をしのぶ”追悼式 《新潟》
TeNYテレビ新潟
世界遺産に登録された「佐渡島の金山」で亡くなった“すべての鉱山労働者をしのぶ”追悼式が11月24日、初めて行われました。日本政府代表や花角知事らが出席する中、韓国の駐日大使らは出席を取りやめ、25日朝、独自の追悼式を開きました。参加者から口々に「残念だ」という声が上がりました。 市民団体や佐渡市、新潟県でつくる実行委員会によって開かれた追悼式。 〈佐渡市 渡辺竜五市長〉 「労働者の中には朝鮮半島から来られた多くの人々も含まれます。ふるさとから遠く離れたこの地で困難な業務に従事され不幸にもお亡くなりになられた方々に改めて地元佐渡を代表しまして深い哀悼の意を表します」 〈花角知事〉 「亡くなられたすべての労働者の方に並びにご遺族の皆様に深く哀悼の意を表します」 〈式典実行委員会 中野洸委員長〉 「亡くなられたすべての方々には哀悼の意を表することが大切であると考えており」 〈日本政府代表 生稲晃子外務政務官〉 「先人たちのご労苦に心から敬意を表すとともに亡くなられたすべての方々に改めて深い哀悼の意を表したいと思います」 出席者によって「すべての労働者」に対して哀悼の意が表されました。 しかし会場には多くの空席が… 出席予定だった金山で労働していた朝鮮半島出身者の家族や韓国のパクチョルヒ駐日大使らが出席を取りやめたのです。 佐渡島の金山をめぐっては、日本が世界遺産への登録を目指す際、朝鮮半島出身者の強制労働があったなどとして韓国政府は登録に懸念を示しました。 しかし、日本側が追悼行事を開催する方針などを示したことから、韓国側は一転して登録に同意。 24日の追悼式は世界遺産への登録後初めての開催で、韓国政府の関係者や韓国人遺族も出席して行われる予定でした。 韓国外務省は不参加の理由を「諸事情」としていますが、現地メディアが指摘するのは日本政府代表として出席した生稲晃子外務政務官です。 〈日本政府代表 生稲晃子外務政務官〉 「朝鮮半島から来られた労働者の方々は戦争という特殊な社会状況下とはいえ故郷から遠く離れたこの地で愛する家族のことを思いながら坑内の危険で過酷な環境のもとで困難な労働に従事されました。世界遺産に登録された今こそ先人たちが積み上げきた歴史に思いをいたしこれを未来に継承していくとの誓いを新たにしなければなりません」 韓国メディアは生稲外務政務官が2年前の「終戦の日」に靖国神社を参拝したことを問題視したと指摘しています。 林官房長官は「生稲政務官は参議院議員就任後に靖国神社を参拝した事実はないと承知をしている」としていますが、再び歴史認識問題で冷や水を浴びせられた地元は… 〈式典実行委員会 中野洸委員長〉 「出席していただきたかったという思いです。したがって残念だという思いです」 〈佐渡市 渡辺竜五市長〉 「地元としては準備をしてきた中でこういう結果になったことは本当に大変残念であるというのが正直な思いでございます。どこでどういうお話があったのかこれは政府の中でしっかりと外交の中の問題でございますのでしっかり話をしていただきたい」 〈林官房長官〉 「韓国側の追悼式欠席の理由についてご説明する立場にはございませんが、韓国側が参加しなかったことは残念であると考えております」 こうした中、25日朝、韓国政府や遺族などが佐渡市相川を訪れ、独自の追悼行事を行いました。 韓国のパクチョルヒ駐日大使は「金山の歴史には労働者の方々がいた、亡くなった人の慰めになることを願います」と述べていました。 「すべての労働者」に対する追悼式は毎年開催予定で来年以降、韓国側の参加があるのか注目です。