【闘病】嫌な喉の痛み… まさかの「ステージ4の悪性リンパ腫」だった
話を聞いてもらうことが心の支えに。治療中と現在の過ごし方
編集部: 闘病に向き合う上で心の支えになっているものを教えてください。 大沼さん: 二人の息子たち、親しい友達、趣味の活動、主治医の穏やかさです。そして、病院のピアサポーターさんにも大変お世話になりました。 ピアサポーターというのは、その人自身もがんの経験をお持ちで、その経験を活かして同じ境遇にある人たちをサポートする人のことです。医師に話しづらいことを聞いてもらえたり、患者目線でのアドバイスをもらえたりと、私にとってとても心強い存在でした。 どの病院にもある制度ではないようなので、この記事を読んでくださったみなさまにぜひピアサポーターの存在を知っていただけたらと思います。 編集部: もし昔の自分に声をかけられたら、どんな助言をしますか? 大沼さん: 自分の生活を振り返ってみると、野菜嫌い・夜型の生活と乱れた生活習慣が良くなかったと思います。なので、昔の自分に声をかけるとしたら、野菜をもっと摂ることと、睡眠時間を増やすようにと言いたいです。 編集部: 現在の体調や生活などの様子について教えてください。 大沼さん: 抗がん剤治療終了直後にコロナにかかってしまい、肺炎になって1カ月入院するなど大変な思いをしましたが、今は後遺症もなく元気です。仕事は退職し、趣味を楽しんでいます。 維持療法を受けている間は、抗がん剤治療中と同様に免疫力が低下してしまうので、コロナなどの感染症に人一倍注意しています。しかし、この冬に少し無理をしたのか、軽症ではあるものの帯状疱疹を発症してしまいました。 特に体調の悪さや疲れを感じていなくても、コロナや帯状疱疹に罹患したことでやはり免疫力が落ちているのだと、身をもって知りました。維持療法中は特殊な肺炎を予防するための薬(バクタ)を週に2回、1日2錠服用しています。
日々進歩していく医療に救われた。情報の取捨選択も大切な理由。
編集部: あなたの病気を意識していない人に一言お願いします。 大沼さん: 悪性リンパ腫という病名から不治の病であるとも思われがちですが、抗がん剤が大変よく効く病気です。病型によっては6割以上の方が治癒します。 また、私と同じ濾胞性(ろほうせい)リンパ腫は多くの方が再発を繰り返しながらも、その都度違う治療法で寛解し、長生きされている方が多いそうです。血液のがんなので体を切るという治療(手術)もありません。 とにかくこの病気は少なくとも数十種類の病型があるので、それに応じた治療を行うことで寛解が十分目指せるものだということを知ってもらえたらと思います。 そして抗がん剤の副作用ですが、一番懸念される吐き気は、吐き気止めの良い薬があるのでまったくと言っていいほど起こりませんでした。初回~2回目に少しむかむかした程度で、薬を飲むとすぐに治りました。 そのほかも様々な副作用はありましたが、対症療法で何とか乗り越えられました。副作用は人によってかなり違う、ということも知ってほしいです。 編集部: 医療従事者に望むことはありますか? 大沼さん: 当時はコロナ禍だったにも関わらず、先生から看護師さん、スタッフの方々まで、大変よくお世話していただきました。感謝の言葉しか浮かびません。 そして、大勢の治験者さん達の協力と、開発者と医療者の尽力によって薬が開発されて後世の患者の命を救っていることを、自分が患者になって初めて意識しました。治験に参加されて残念ながら効果が得られず、命を落とされた方もたくさんいらっしゃると思います。 そのような方々のデータの積み重ねで効果のある薬が誕生し、多くの人の命を救っていることに改めて感謝申し上げます。 編集部: 最後に、読者に向けてのメッセージをお願いします。 大沼さん: 悪性リンパ腫やそのほかのがんになったとしても、医学は日々進歩しており、どんどん良い薬も開発されています。 そしてネットには病気の経験者をはじめさまざまな情報があふれているので、取捨選択して自分にとってためになる情報を取り込むことも有意義であると思います。