正社員で就職できましたが支給額が思ったより低いです。どうして月給20万円が16万円になるのでしょうか?
「給与は、なぜ額面どおりに支払われないのか」と疑問に思われたことはないでしょうか。例えば、月給20万円の場合、受け取るのはおおむね16万円前後になることが想定されます。 一般に、このときの「20万円」を「額面(または額面給与)」、「16万円前後」を「手取り」といいます。本記事では、額面と手取りの違い、どうして月給20万円が16万円になるのかについて、解説します。
手取りは額面から社会保険料と税金を差し引いたもの
私たちには、社会保険料や税金を支払う義務があります。会社員の場合、給与支払者である会社が、給与から社会保険料や税金を徴収し、納付します。このため、額面と手取りに差が生じます。 このことを計算式で表すと、以下のようになります。なお、手取りのことを「可処分所得」ということもあります。 ・手取り= 額面 -(社会保険料 + 税金) 上記計算式の「社会保険料」とは、健康保険料、介護保険料(40歳以上の方のみ)、厚生年金保険料、雇用保険料の合計額です。「税金」とは、所得税、住民税の合計額です。 これらの社会保険料、税金については、会社が徴収、納付の手続きをしており、本人には支払ったという感覚がないかもしれません。 特に社会保険については、どんな社会保険に加入しているかをご存じない方もいらっしゃるのではないでしょうか。本記事を読まれた方には、ここで再度ご認識いただけたらと思います。
差し引かれる社会保険料と税金は額面の約2割
額面から差し引かれる社会保険料は、以下のように計算します。 ・健康保険料(東京都)(令和5年3月分から)= 標準報酬月額 × 10%× 1/2(折半) ・介護保険料(東京都)(令和5年3月分から)= 標準報酬月額 × 1.82% × 1/2(折半) ・厚生年金保険料(令和5年3月分から)= 標準報酬月額 × 18.3% × 1/2(折半) ・雇用保険料(一般の事業)(令和5年度)= 給与 × 6/1000 例えば、「標準報酬月額」「給与」が20万円である場合、それぞれの保険料は以下のように計算し、合計3万1320円となります。 ・健康保険料 = 20万円 × 10%× 1/2 = 1万円 ・介護保険料 = 20万円 × 1.82% × 1/2 = 1820円 ・厚生年金保険料 = 20万円 × 18.3% × 1/2 = 1万8300円 ・雇用保険料 = 20万円 × 6/1000 = 1200円 また、額面から差し引かれる税金は、以下のように決められています。 ・所得税:「給与所得の源泉徴収税額表」より、「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」と「扶養親族等の数」を基に、暫定的に徴収 ・住民税:前年の所得金額に応じて課税される「所得割」と定額で課税される「均等割」の合計額 例えば、「標準報酬月額」「給与」が20万円である場合、社会保険料の合計額は3万1320円でしたので、「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」は16万8680円となります。「扶養親族等の数」が0人の場合、額面から差し引かれる所得税の額は3620円です。 なお、所得税については年末調整で清算をするため、毎月差し引かれているお金は、あくまで見込み額として暫定的に徴収しているにすぎません。 住民税については、「特別徴収」を選択している場合、「税額の決定通知書」が会社に郵送されます。会社はこの通知書に従い、徴収・納付します。今回の計算例においては、月7000円と仮定します。 以上のことから、月給20万円(額面)の場合、差し引かれる社会保険料と税金は、社会保険料3万1320円、税金1万620円となります。ここから手取りを計算すると、15万8060円となります。額面に比べて、手取りは2割強少ない計算になります。