伊豆諸島航路で唯一の「フェリー」に乗る マイカーそのまま運べます! 中身は大型客船並み!?
波の高さによっては立ち寄れない島も
航海船橋甲板には、一等室以外はトイレがないので、特二等室の乗客は階段の上り下りが発生する点も不便でしょう。ただ、航海船橋甲板からの眺望を独占できる楽しさはあります。 先述の通り485tの船なので、停泊時でも少し揺れました。エンジン音は横になると感じる程度。9時30分に出港すると、揺れが大きくなりました。 ただ乗組員の話では「普段より揺れています」とのこと。とはいえフィンスタビライザーの効果か、歩けなかったり酔ったりするほどではありません。筆者は船酔いの経験がありませんが、「酔われるお客様もいらっしゃいます」とのことでした。 当日は晴天でしたが、小さな船では波の高さに気を使います。「波が高いと接岸できないため、欠航する可能性が出ます。神津島は港が2つあるので欠航しにくいですが、それ以外の島は立ち寄れないこともあります。11~3月は欠航が増えますが、それでも1割くらいです」と乗組員。東京都港湾局の「伊豆諸島の現状」によると、「フェリーあぜりあ」が立ち寄る島で最も就航率の低い利島では、5年間平均で82.8%ですが、ほかの島は90%以上でした。 朝食代わりにカップ麺の自販機を利用しました。「天ぷらうどん」はなかなかの美味でしたが、スープを捨てる場所がないので注意が必要です。また二等室と特二等室の乗客だと、カーペット敷きでテーブルはないので、エントランスでの立ち食いが必要かもしれません。乗船前に弁当類が買えるなら持ち込みもありです。
コンテナやクルマをテキパキ降ろす
当日の乗客は16人でした。乗組員によると「コロナで各島内の宿泊施設が維持できず、お客様が減少しました」とのこと。それでも、渡り鳥を見たい乗客が乗船するのだとか。 島の到着前に汽笛を鳴らし、12時1分に神津島に到着。8人が下船し、23人が乗船しました。2台のクルマとコンテナが手早く降ろされ、わずか5分で出航です。筆者は「下田発下田行き」なので降りられませんが、こんなに滞在時間が短いなら、降りると乗り遅れそうです。 13時10分、式根島到着。下船客なしで4人が乗船しました。わずか1分で可動橋が撤去され、13時16分には出航しました。 13時44分、新島に到着。4人が下船し、3人が乗船しました。可動橋は2分で撤去され、前甲板からコンテナ3つが降ろされました。コンテナを降ろしても、接岸から7分後の13時51分には新島を出港しました。 最後の目的地・利島は14時50分着。乗船も下船もなく、可動橋は10秒ほど接続されましたが、すぐ撤去。わずか1分で出航しました。 16時30分、定刻に下田港に到着しました。7時間の乗船でしたが、大半でインターネットも使え、楽しい船旅でした。
安藤昌季(乗りものライター)