埋まる学校、黒い溶岩原…生々しい噴火の痕跡残る三宅島 現着しました!
東京の都心から南、約180キロに浮かぶ直径約8キロの小さな火山島、三宅島。中央に雄山(おやま)(775メートル)がそびえるこの島は、約20年に1回の間隔で噴火に見舞われており、直近では平成12年に発生したばかりだ。島内には今も、歴代の噴火で生まれた景観や、埋もれた建造物が残る。火山活動の生々しい痕跡を訪ね歩いた。 【写真】平成12年の噴火で発生した泥流により、上部だけ残して埋まった椎取神社の鳥居 ■集落飲み込む 島の西部にある阿古地区。車を走らせていると、突如黒々とした荒れた大地が広がった。黒く見えるのは昭和58年10月に発生した噴火で発生し、冷えて固まった溶岩だ。 《炎の激流 島を走る》《火の島…集落が消えた》 当時の本紙は噴火のすさまじさをこう報じている。溶岩は19ヘクタールにものぼる溶岩原を作り出し、ここにあった集落の約400戸を飲み込んだ。住民らは迅速に避難して無事だった。 現地の案内板によれば、地区は当時観光や漁業の中心地として活気にあふれ、前日には小中学校合同の運動会が行われたばかりだったという。 現在では遊歩道が整備され、溶岩の上を歩くことができる。斜面の下方にあるのが、溶岩をせき止めるようにして埋もれている旧阿古小・中学校跡だ。校舎の窓枠はひしゃげ、2階部分まで溶岩に埋まっている。 約40年が経過しているにも関わらず、溶岩原に樹木などはほとんど生えていない。荒廃した風景からは、自然の猛威が伝わってくる。 ■泥流、火山ガスも… 「もうもうと噴煙が上がり、空は灰で真っ暗、おまけに吸ったら死んでしまうガスが出てきて、島にいられなくなった」。島民の男性(72)は、平成12年の噴火をこう振り返る。 6月から島周辺の火山活動が活発化し、7月以降断続的な噴火が発生。8月には噴煙の高さが1万4千メートルにもなる大規模噴火が起き、噴石や灰が降り注いだ。 島の東部にある椎取神社では、地面から鳥居の上端だけが出ている奇妙な光景が見られる。降り積もった灰が雨で一気に流れ落ちる「泥流」の直撃を受け、社殿と鳥居が埋まってしまったのだという。 もともと豊かな自然に囲まれた神社だったというが、泥流に埋まり、残った樹木も火山ガスで壊滅状態に。それから時間をかけてゆっくりと森の再生が進んでいる。