人間は3つの呼吸を使い分けている|メンタルを整える「吐いて吸う」呼吸法を専門医が伝授
リラックスできる呼吸で気分を落ち着かせて
そこで、「不安で呼吸がしづらい」と感じたときにリラックスできる呼吸を行えば、副交感神経を優位にさせ、気分を落ち着かせることができるというわけだ。 「ゆっくりと鼻から吸い、さらにゆっくりと鼻(口でもOK)から吐くのが、理想的な呼吸です。皆さん、息を吸って酸素を取り入れることが大切だと思いがちですが、実は吐き出す方がメイン。医大生でも案外知らないんですよ(笑い)。『呼吸』とは文字通り『吐いて吸う』という意味ですから、先人はよく理解していたのでしょうね」 松野さんによると、息を吐ききったつもりでも肺の中には半分程度の残気量(残った空気量)があり、肺機能が衰えると残気量が増え、肺の利用効率が悪くなるという。その状態で酸素を取り入れても、よい循環にはならないわけだ。 息苦しくなると息を吸いたくなるが、そんなときこそゆったりとした鼻呼吸で余分な酸素を吐き出すことが重要だ。 「呼吸のキモは『呼吸筋』と呼ばれる胸郭(きょうかく/ろっ骨や脊椎で囲まれた空間)まわりの筋肉群(下の図参照)です。 実は、肺は自力で動けず、呼吸筋によって動かされている。そんな重責を担った呼吸筋ですが、運動不足や加齢で衰え、さらにスマホによる悪姿勢で凝り固まっている。それが、呼吸のしづらさを招いています」 まずは呼吸筋をほぐすことが、スムーズな呼吸への近道。美容と健康のためにも、呼吸ケアは必須!
呼吸に必要な筋肉
人間は、呼吸をするのに、これだけの筋肉が必要になる <吸息筋> A:胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん) B:斜角筋 C:僧帽筋(そうぼうきん) D:傍胸骨内肋間筋(ぼうきょうこつないりょくかんきん) E:外肋間筋(がいろっかんきん) <呼息筋(こそくきん)> F:内肋間筋 G:外腹斜筋 H:内腹斜筋 I:腹横筋 J:腹直筋 イラスト/うつみちはる ※女性セブン2024年11月14日号