なぜ“8冠”アーモンドアイは夢対決実現のジャパンCでの引退を決めたのか?
しかもジャパンカップは、2年前に2分20秒6のスーパーレコードで勝っている得意の東京2400メートルである。ラストランの舞台としてはこれ以上ない。そして、ここをラストランの舞台に決めた背景には、先に出走を表明していた2頭の最強馬の存在がある。 競馬関係者がこう裏事情を証言する。 「今年の3歳クラシック戦線を席巻したデアリングタクト、コントレイルはともに非社台系でした。社台としては牡牝の3冠馬をまとめて負かせば、最強の座を不動のものにできるし、うっぷんを晴らすことができる。しかも引退レースなので2度と対決することはない。最初で最後の対決。勝って引退という、さらに歴史に名を残す有終の美を狙っているのでしょう」 国内最大の競走馬生産牧場集団「社台グループ」のプライドをかけた意地がある。 ジャパンカップには5戦5勝で秋華賞を制したデアリングタクト、7戦7勝で菊花賞を制して親子無敗の3冠馬に輝いたコントレイルの出走が、すでに発表されている。ここにアーモンドアイが加われば、史上初となる3頭の3冠馬対決というドリームレースが実現することになるのだ。 競馬好きのタレントや芸人をはじめ海外メディアもSNSなどで反応したほど。過去にも、ジャパンカップ、有馬記念、天皇賞で実現したシンボリルドルフvsミスターシービーの3冠馬対決、天皇賞で「世紀の対決」と謳われたトウカイテイオーvsメジロマックイーンなどの語り継がれるドリームレースがあったが、今回は、それらを越える史上最高のマッチアップだ。 このドリームマッチの実現は、ある意味で必然だった面もある。デアリングタクトの馬主「ノルマンディーサラブレッドレーシング」とコントレイルのオーナーブリーダー「ノースヒルズ」との間では、「無敗で3冠達成ならジャパンカップで対決しよう」という約束があったという。無観客でスタートした新型コロナ禍の競馬をなんとか盛り上げようというオーナーの熱い思いである。