1館から全国上映へ。『侍タイムスリッパー』監督とキャストが語る、高みを目指した撮影現場
『SHOGUN』などの時代劇と『カメラを止めるな!』への思い
―国内では『侍タイムスリッパー』、そして国外では『エミー賞』を席巻した『SHOGUN 将軍』が社会現象になっていて、時代劇の新たな可能性を感じますよね。 安田:そこと比べられるとは恐れ多いです……。ただ、いま時代劇を撮ると西洋風の立ち回りになることが多いんですが、真田広之さんが目指したオーセンティックな描写はこの映画とも共通しているかなと思います。だから真田さんが『侍タイムスリッパー』を観てくれたら喜んでくれるんじゃないかなと。この映画で衣装をやってくれた人が『SHOGUN 将軍』で着付けをやってたりという、ちょっとしたつながりもあるので(笑)。 ―まだ海外では映画祭で上映されただけで一般公開はされていないそうですが、この映画も世界中で反響があるのではないでしょうか。 安田:モントリオールで行なわれた『ファンタジア国際映画祭』での反応はエグかったですよ。日本の劇場でもみなさんゲラゲラと笑ってくれてるけど、その5倍くらい大ウケで。 沙倉:コメディ映画ですってあらかじめ言ってたから、みんな真剣なところでも笑ってましたよね。 安田:誰かが何か言うたびに笑うし、拍手も頻繁に起こるし。僕も嬉しかったですけど、横にいた馬木也さんはその笑い声を聞いてずっと泣いてはりました。会場がドカーンって爆笑に包まれるたび、横から「グスッ、グスッ」って音が聞こえてきて(笑)。 ―最後に、すでに予想以上の広がりを見せている『侍タイムスリッパー』に今後どのような展開を期待しますか? 安田:この映画をつくったきっかけのひとつが『カメラを止めるな!』の大ヒットに勇気をもらったことだったので、この映画も自主制作で頑張っている皆さんに勇気を与えられるくらい広がってほしいなと。まだまだ現状では『カメラを止めるな!』の再現性があるとは言えないので、そこを目標にみんなで頑張っていきたいと思います。
インタビュー・テキスト by ISO / 撮影 by 鈴木渉 / 編集 by 生田綾