月に20万以上!認知症の母、ダウン症の姉と暮らすにしおかすみこがカリスマ介護士に相談した「施設に入れない」理由
訪問介護、倒産は過去最多
2024年1月から10月の「訪問介護事業者」の倒産動向調査(東京商工リサーチ)によれば、ヘルパー不足の長期化や燃料・光熱費の高止まりなど運営コストの増加が響き、2024年の訪問介護事業者の倒産が10月までに72件判明し、過去最多を記録した。訪問介護の報酬が引き下げられたことも影響した。 「ヘルパーについては、行った介護報酬をいただくんですけれども、その基本報酬が下がったんです。訪問介護事業所がその市町村で0とか1個しかないところがもう200、300近くなってきてるんですよ。在宅支援でスタートした介護保険法でありながら、ヘルパーを潰すっていうことは、もう在宅介護なんて、国は本気で考えていないんじゃないかって思いますね。 倒産または閉鎖が増えている中で、経営としてお金が入ってこないからうまくいかない。けれども今回の改定で、訪問介護を初めとし、在宅の現場では、訪問介護を軽く見てるんだ、報酬として下げるっていうことは、これぐらいでいいと思ってるんだ、もう訪問介護はやらないっていう人が増えていきますよね。そうするとヘルパーの人数も少なくなるし、新しい人は基本は来たがらない。 そのことを介護事業者だけではなく、にしおかさん初め、一般の人がこんなのおかしいって言っていくことは大事ですね。年を取っても体が不自由になっても、最後まで自分らしい幸せの中で生きていきたい、そのために必要なものを、国と一緒に作っていきたいってことなんです」(高口さん)
逃げることもできない?
にしおかさんは、お母さんやお姉さんを守りたいと思ったから介護保険について調べたし、自分のこととして捉えたから、こうした発言ができる。 「私自身が一番元気で幸せじゃないと、家族を幸せにできない。だからしんどくなったら、逃げたらいいじゃんって思ってるんですよ。でも逃げるときは、きっとヘルパーさんや使えるサービスを駆使して、これならギリギリ母と姉が生きていけるよねって算段がついたときかなって。このまま放置するしかないという状態で、私、ホントに逃げられる?って思います」 この状況は、女性をめぐる社会的な境遇にも関連する。高口さんは、歴史を振り返った。 「おうちの中で、特に女性が全てを背負って、本当はもっと働きたかったのに、やりたいこともあったのに、介護は嫁だからとか女だからとか娘だからっていうだけで押しつけられて、潰れてった人がいっぱいいるんですよ。だから介護保険ができたんです。 一生懸命に働いて、年金から天引きの医療保険と一緒に支払うのが介護保険料なんです。これから年をとって、より豊かになれると思って払っている。それが自分の幸せにつながらなかったら、国に騙されたみたいですよ。介護保険がよくなるように、伝えていきたいと思っています」 その他、参加者からの質問ににしおかさんと高口さんが答えた。認知症の人とのコミュニケーション方法、認知症の人が安心して暮らせる環境作り、発信することの必要性などを改めて訴えた。二人のトークはおもしろく、元気が出る。にしおかさんの体験談に対して高口さんが解説するキャッチボールが、わかりやすい。『ポンコツ一家』シリーズを改めて読み返し、これからも一家の今を通して、介護の課題を追いかけたいと思った。
にしおか すみこ、高口 光子、なかの かおり