世界を驚かせたNASAの次期長官人事、トランプとマスクが結束するアメリカ宇宙政策の舞台裏とは?
マスク氏の予言した通り、打ち上げコストを100分の1(1%)にするには、2018年当時のファルコン9を例にすれば、1回の打ち上げコストを7350万円まで圧縮する必要がある。だが、それが実現する前にファルコン9は退役し、スターシップに世代交代する予定だ。 スターシップの現時点(ブロック2/試験機)での打ち上げコストは1トン1億円とされ、2018年当時の他社平均と比較すれば9%になる。マスク氏が同機を開発する理由は、このスケールメリットにある。 また、マスク氏はスターシップの打ち上げコストを10分の1まで圧縮するとも表明している。もしこの機体を年間100回以上打ち上げれば、2018年当時の他社平均の数%に至るだろう。さらに、現状のスターシップのLEOペイロードは150トンだが、2025年に打ち上げ予定のタンカーの仕様(ブロック3)は200トンを予定しているため、その数字はさらに1%に近づくはずだ。 これらはあくまで皮算用だが、過去13年間におけるスペースXの実績を見る限り、同社はその目標値に向かって最短距離を疾走しているように思える。
鈴木 喜生