平均寿命は15歳から20歳 老化が早く進む難病「コケイン症候群」の女の子 「なんぼ泣いても治らんし」 ”いまを楽しく”笑顔で過ごす母と娘の毎日
入退院を繰り返す日々・・・ リハビリ施設が支えに 「一人娘、いなくなったらどうなるんだろう」
ことねさんは平日は支援学校に通い、放課後にはデイサービスを利用しています。 歩くことは出来ませんが、床にお尻をつけたまま、両手を使って器用に移動することができます。体を動かすのが大好きで、デイサービス施設ではボールプールに入ると、次々とボールを投げていきます。小学生のお友達が来ると、満面の笑みで「いないいないばぁ」。いつもお母さんに優しくしてもらっている分、年下の子にとても優しいことねさんです。
そしてもう一つ、ことねさんが通うのは自宅近くでのリハビリです。 自分では動かしにくい関節を、理学療法士の先生に、丁寧にストレッチしてもらうのだといいます。痛みを感じて嫌がることもありますが、遊びを取り入れながら、楽しそうに、リハビリに取り組んでいます。 ことねさんがここに通い始めたのは2歳のころ。12年間寄り添ってくれてきた職員さんたちは、親子の支えになっています。 (母・香織さん)「第二の家やと思ってます、ここ」 (リハビリ園の園長)「お母さんも相談するところというか、話するところがなかなかないですからね」 (母・香織さん)「ないですね。そうなんです」 リハビリを頑張っていてもお腹のチューブが詰まったり、菌が入って感染症を起こしたり。入退院を繰り返しながら暮らすことねさん。 (母・香織さん)「何度かヤバいかもと思うときはあって。一人娘なので、いなくなったらどうなるんだろう? みたいな。(祭壇に飾る)写真とかも選んでいかなあかんなとか思いながら」
”特別な体験” 限られた一瞬一瞬を大切に 「目が」・・・消えていく世界
母・香織さんは、仕事の合間を縫って、ことねさんと旅行に出かけたり、友達と会ったり。笑顔のあふれる毎日にしたいと、限られた時間、一瞬一瞬を大切に過ごしています。 3年前には、友人の協力で特別な体験をすることができました。諦めかけていた、ことねさんのウェディングドレス姿。 しかしこの後、ことねさんの体に、さらなる異変が起きました。 (母・香織さん)「目、目と言ってたんです。『目が見えへん』というようなことを言ってきたんです。今まで そんなこと全然なかったのに」 それまで見えていた世界が、消えていきました。
「なんぼ泣いても治らんし・・・」 思い出を作る日々 ずっと続く親子の笑顔
5月中旬。この日は、自宅近くに出張のいちご狩りを招きました。 目が見えなくても、味や香りで楽しめるのではないか。そう考えて、香織さんが発案したものです。 (母・香織さん)「泣いてる時間って、もったいないじゃないですか。泣いて病気が治るんだったら なんぼでも泣くけど、治らんし。それだったら悲しむのは、ことねが亡くなったあとに、いくらでも泣けるので」 「とりあえずは笑って、あほやって、思い出をつくるしかないなって思って」 ことねさんと、香織さん。 できないことが増えても、親子の笑顔はずっと続きます。
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