「僕なんかはただのミーアキャットですから」――MCへ「化けた」、東野幸治の程よい距離感
バラエティからニュース番組まで、幅広いジャンルでMCを務め、レギュラ―は12本を数える芸人・東野幸治。しかし、CMはゼロだ。少し前までは芸人仲間から「人の心がない」「サイコパス」などと恐れられていた要注意人物でもある。東野とはいったい何者なのか。(取材・文:ラリー遠田/Yahoo!ニュース 特集編集部)
常にキョロキョロしてるだけ
「例えば、不倫スキャンダルを起こした俳優がゲストで来たとして、何も突っ込んだことを聞かずに終わったら僕の仕事は減っていくでしょう。僕はたまたまそういうところを持ち場としているんだから、そこでがんばっていくしかないな、っていう感じです」 東野幸治、52歳。今の主な仕事は司会業だ。番組の性質に合わせて少しずつキャラクターを変えて、ディレクターの要求にはきっちり応える。職人気質のテレビタレントである。 「僕なんかはただのミーアキャットですから。スタッフがいったい何を求めてるのか探して、常にキョロキョロしてるだけです。それでコツコツ信用を得て、仕事を頂けるんだと思っています」 ときにはトーク番組で相手が聞いてほしくないようなことをズバッと聞くこともある。東野がそれを躊躇なくできる理由の1つは、芸能界に対する程よい距離感だ。吉本の芸人以外では芸能界に友人や飲み仲間もほとんどいないため、嫌われても気にならない。それよりもMCとしての職務を果たすことを優先する。 ただ、今でも東野には「やるときはやる」という危険な香りが漂う。品川祐や西野亮廣など、自己主張の強い後輩芸人たちをニヤニヤ笑いながらイジり殺していくときの東野の暴走は誰にも止められない。だが、それさえも「たまにしか怒ってないですけどね」と本人はあっさりしたものだ。 「たしか上岡龍太郎さんがおっしゃってましたけど『僕はすぐに怒るイメージがあるけれど、実は年に1~2回しか怒っていない。でも、そうやって年に1~2回怒っておけば、ずっとそのキャラクターでいける』って。僕は上岡さんがテレビでキレてるのが大好きでしたから、そういうのが体に染み付いているのかもしれないですね」