「僕なんかはただのミーアキャットですから」――MCへ「化けた」、東野幸治の程よい距離感
結果的にこんなふうになっちゃった
闇営業騒動の最中、『ワイドナショー』で謹慎中の後輩芸人を思いやった東野が目に涙を浮かべたとき、彼のことを冷酷な人間だと思い込んでいた視聴者は驚愕した。だが、彼の芸人愛だけは紛れもない本物だ。今でも、芸人の王道を行くことに対する密かな憧れはある。 「たしか赤信号のリーダー(渡辺正行)がおっしゃってたと思うんですけど『お笑いとは強さである』って。お客さんが笑ってなくても、これが面白いんだと思ってやり続けるのがお笑いである、っていうのは腑に落ちました。千鳥なんかも、自分たちの面白いと思っていることが変わっていないじゃないですか。だから東京にハマってない時期もあったけど、今はどハマりしているでしょう」 自分にもその強さがあるかを尋ねると、東野は自嘲気味に微笑んだ。 「ないです、完全にないです。そこの強さ・弱さみたいなところからずっと距離を置いてやってきましたから。成功か失敗か分からないけど、それで結果的にこんなふうになっちゃったんです」 ダウンタウンのもとで腕を磨き、バラエティ番組に出て活躍して、今はあらゆるジャンルの番組で司会業をこなす。東野は与えられた状況に巧みに適応しながら今まで生き延びてきた。 「しぶとくしぶとくやりたいですね。こんだけ周りの様子うかがってきて、一発で倒れたら情けないでしょう。やや太ーく長ーくいきたいです」 芸能界をチョロチョロと這い回る東野幸治の正体は、か弱いミーアキャットではなく、どんな環境でもたくましく生きる誇り高きドブネズミだった。