【独自】沈没した掃海艇「うくしま」に衝撃情報!秘密文書や小銃が漂着の可能性も
海上自衛隊の掃海艇「うくしま」が11月11日、福岡県宗像市沖で火災を起こし沈没した。この件について、筆者は前回の記事で、同型の掃海艇で似たような原因の火災が発生していたことを突き止め、再発防止がとられていなかった疑念を指摘した。さらに今回、自衛艦が沈没するに際して、必ずとらなければならない措置が講じられていなかった可能性が新たに浮上した。(安全保障ジャーナリスト、セキュリティコンサルタント 吉永ケンジ) 【この記事の画像を見る】 ● 掃海艇「うくしま」の沈没時に 秘密文書を持ち出さなかった疑惑 「あなたの記事が出て、海上幕僚監部では『誰が余計なことを話したんだ!』と大騒ぎになったそうだよ」 驚愕の知らせは、ある海上自衛官OBからの電話で舞い込んできた。OBが指摘する記事とは、筆者が本連載で前回に書いたもので、沈没した掃海艇「うくしま」と同型艇の「ししじま」「すがしま」で、過去にエンジンの排気管から漏れ出した高熱の排ガスが木製の船体を焼いた事故が起こっていたことを指摘したものだ。 しかし、海幕の推測は的外れで、国土交通省の運輸安全委員会が作成した「ししじま」「すがしま」の事故調査報告書はインターネットで誰でも閲覧できる。筆者は、その報告書に示された具体的な再発防止策が取られていなかったので、「うくしま」の事故につながったのではないかと問題提起したに過ぎない。 筆者が他にも何か聞いていないかと尋ねると、OBは「世知辛い世の中だから」と前置きして、「うくしま」沈没時の状況を語り始めた。
「あなたも知ってのとおり、自衛艦が沈没するときは総員離艦部署が発令されるよね。でも、『うくしま』では部署が発令されていたのかどうか分からず、秘密文書の持ち出しなど行われていなかったらしい」 総員離艦部署とは、文字どおり、攻撃などで大きなダメージを受けた艦から乗組員が脱出する際に発令される命令だ。護衛艦や掃海艇の船体には総員離艦に際する心構えとして、あわてるな、衣服を着用せよ、救命胴衣を装着せよ、早く艦から遠ざかれなどの「総員離艦安全守則」のプレートが貼り付けられている。 もちろん、防火・防水や各種戦闘の部署と同様に、総員離艦部署も日頃から訓練している。部署が発令されると、乗組員ごとに割り振られた任務を行う。その一つが秘密文書の持ち出しだ。 作戦計画や暗号書など、秘密文書は訓令に基づき金庫に保管されているが、総員離艦時には持ち出し袋に入れて持ち出す手はずになっている。その理由は単純明快で、重要な情報を敵の手に渡さないためだ。 実際、過去には敵に秘密文書を奪われたことで、大きな被害を受けた事例がある。それが海軍乙事件だ。1944年、日本海軍の福留繁連合艦隊参謀長の搭乗した飛行機がフィリピンに不時着、米軍が指揮するゲリラに捕まり、最新の「Z作戦計画書」や暗号書を奪われた。 この影響は事後の作戦に大きな影響を及ぼした。作戦内容を事前に把握していた米海軍と対峙した日本海軍は、マリアナ沖海戦で空母3隻と艦載機のほとんどを失うことになる。 戦時の事件と平時に日本の領海内で起こった事故では意味合いが異なるが、部署で決められた手順が行われていなかったとすれば問題だと言わざるを得ない。 ● 別の海上自衛官OBからの さらなる驚愕の情報 この秘密文書持ち出しが行われていなかったことの傍証となり得る、ある情報が福岡県防災ホームページに掲載された。 「福岡県からの注意喚起 宗像市大島沖における海上自衛隊掃海艇『うくしま』転覆に係る漂着物の取扱いについて」と題するページには、搭載品や書類等が流出・漂着する可能性があり、それらを発見した際には、海自佐世保地方総監部まで連絡するよう求めている。 このお知らせについて、福岡県防災危機管理局は「佐世保地方総監部からの依頼で掲載した。具体的にどのようなモノが漂着する可能性があるのか知らされていない」と答えた。わざわざ「触れることなく」連絡するように求めているのだから、海自は危険物や人目に触れさせたくない秘密文書が漂着することを想定しているのかもしれない。 取材を進めると、別の海上自衛官OBからさらに驚くような情報がもたらされた。