岩屋外相、USスチール買収阻止「極めて残念」と米国務長官に伝達
(ブルームバーグ): 岩屋毅外相は7日、バイデン米大統領が日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収を阻止する決定を発表したことに対し、「極めて残念」との見解をブリンケン米国務長官に伝えた。同日夕の記者会見で明らかにした。
岩屋氏は同買収計画に関して「日本から米国への投資は両国にとって利益がある」と指摘。日本の産業界から今後の対米投資に強い懸念の声が上がっており、払しょくするための対応を米側に求めたという。ブリンケン氏の反応については紹介しなかったが、日本企業による対米投資を含む日米関係の重要性について改めて確認したことを明らかにした。
トランプ次期大統領のホワイトハウス復帰を約2週間後に控え、退任が近づいているブリンケン氏は同日、アジアや欧州への訪問の一環として東京を訪れていた。今回の訪日は、同買収計画にバイデン大統領が不当に介入したとして、日鉄とUSスチールの両社が提訴する中で行われた。
ブリンケン氏は岩屋氏との会談で、バイデン大統領と「われわれが最も誇りに思っていることの一つは、日本との関係の強さだ」と強調。日米間の緊密な経済・安全保障上のパートナーシップを称賛してみせた。岩屋氏は、4年間で日米同盟がかつてなく強固になったと述べた。
岩屋氏との会談後、ブリンケン氏は首相官邸で石破茂首相とも会談した。
ブリンケン氏は会談後、記者団に対し、「われわれの経済は極めて緊密に結ばれている」と語った。ただ、日本製鉄によるUSスチールの買収を阻止する決定について触れることはなく、質問にも答えなかった。これは緊密な同盟国の間においてはまれな緊張関係が生じていることを示唆している。
原題:Blinken Lauds Japan Ties While Skirting Nippon Steel Dispute (1)
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Akemi Terukina, Yoshiaki Nohara, Courtney McBride