シャープの「AQUOS R9 pro」は“カメラを超える”スマホ 3眼カメラやシャッターキーの意図、19万円台でも投入する意義とは?
前年から3倍売れたAQUOS R9 それでも超ハイエンドのAQUOS R9 proを出す意義は?
2024年7月に発売したAQUOS R9は、性能と価格の絶妙なバランスが支持され、「世界的にハイエンドスマートフォンの需要が伸び悩んでいる中、前年比で3倍売れている」(小林氏)というほど好調だという。AIによってよみがえった松田優作さんを起用したCMの効果も大きく、「世間の注目度が爆発的に変わった」(小林氏)。松田優作さんを知る世代をターゲットにしたわけではなく、若者へ訴求するという狙いも当たり、「あのプロモーションによってブランドの平均年齢が若返った」そうだ。 「デザインの力が大きかった」と小林氏が言う通り、刷新したデザインも受け入れられた。「以前のAQUOSと雰囲気がだいぶ変わったとご評価いただく声も増えてきた」と同氏は手応えを話す。 メーカーとして、2024年はAQUOS R9、AQUOS wish4、AQUOS sense9だけでも十分勝負できるだろう。それでもAQUOS R9 proを出す意義はどこにあるのか。また、AQUOS R8シリーズのときのように、なぜ同時発表しなかったのか。 小林氏はAQUOS R9 proについて「数を出せそうにないのはその通り」と認めつつも、「もはやスマートフォンというよりはカメラだと思っている」と語る。「技術の最先端を攻めていく上では非常に重要な商品。ああいうものが作れないと、スタンダードや、タンダードハイといわれるゾーンでもいい画質は作れない」と続け、技術を突き詰める上で欠かせないピースであることを強調する。 加えて、シャープのブランド力向上にも貢献すると考える。「シャープのカメラはどうなのか? と言われていた時期もあったが、ここ数年、ライカさんとのコラボレーションのおかげもあって、非常に評判も上がっていると実感しているし、世界のトップ集団にとどまるためには、ああいう商品は必要だと思っている」(小林氏) proモデルはユーザーの中でも熱烈なファンが多く、そうしたコアなユーザーを大事にしていく姿勢も小林氏は示した。 発表タイミングが10月になってしまったのは、シンプルに開発が間に合っていなかったからだったという。予告だけでもしてほしかったところだが、「(5月の段階では)まだ出来上がっていなかったので、(AQUOS R9 proの発売を)お約束するのがメーカーとしては難しい。夏のタイミングでは(開発は)ガンガン進んでいたが、どのぐらいのクオリティーになるのか、いつ出るのかは不確実性がある」(小林氏)とのことだった。 AQUOS R9 proについてのSNSの反応を見る限り、「完璧すぎる」「やればできるじゃん」という好意的な声が多く挙がっている。復活した1型センサー、画質重視の望遠カメラ、シャッターキー、物理キーでの明るさ調整、シャッター無音の設定、レンズフィルター用アタッチメント……など、スマホカメラで「これが欲しい」のニーズに全力で応えたといえる。発売は12月上旬以降と少し先だが、年末商戦の注目機種になることは間違いない。
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