太陽活動が「極大期」入り、長引く見通し オーロラも頻発 NASAなど発表
米航空宇宙局(NASA)と米海洋大気局(NOAA)が共催する国際専門家グループ「太陽活動第25周期予測パネル(Solar Cycle 25 Prediction Panel)」によると、太陽の活動は「極大期」に入った。今後少なくとも1年間はこの状態が続く見通しだ。 【画像】太陽活動極小期と極大期の太陽の比較画像 これは、今月10日~11日に世界各地で観測されたオーロラを発生させた強度「G4」の磁気嵐や、今年5月10日~11日に20年ぶりに地球に到達した最大強度「G5」の磁気嵐のような、非常に強力な磁気嵐が頻発する可能性が高いことを示唆している。5月の磁気嵐は500年ぶりともいわれる壮大かつ広範囲のオーロラを引き起こしたが、こうした低緯度でオーロラが観測できる機会も増えそうだ。 予測パネル共同議長で米独立研究開発機関サウスウエスト・リサーチ・インスティテュート(SwRI)主任研究員のリサ・アプトンは15日、電話記者会見で「われわれが現在経験していることを鑑みるに、太陽は活動周期の極大期に入っているとみられる」と発表。強力な磁気嵐が繰り返し発生していることについて、「太陽周期のどの段階でも可能性はあるが、極大期には頻度が高まる」「この極大期は少なくとも今後半年~1年続き、もう少し長くなる可能性もあるとみている。この期間中は、激しい磁気嵐の発生確率が確実に上がる」と説明した。 ■大規模な太陽嵐が相次ぐ可能性 強力な磁気嵐は、オーロラを出現させる。太陽から放出される荷電粒子の流れである太陽風が地球の磁気圏と衝突し、地磁気に沿って加速して北極や南極から大気圏へと降り込んで、楕円形に広がる緑色と赤色の光の帯(オーロラオーバル)を生じさせる。太陽の磁気活動が最も活発になる太陽活動極大期には、大規模な磁気嵐が発生する可能性が高くなる。
極大期が1年ほどで終わっても、むしろオーロラは増える可能性が高い
太陽活動は約11年周期で強弱を繰り返すが、2019年に始まった現在の「第25周期」はそれより短期間で終わりそうだ。これは極大期が通常より長引き、2026年まで強力な磁気嵐が頻繁に発生する可能性が高いことを意味する。 アプトンによれば、太陽周期が長いほど極大期の到来は急速になり、1~2年で終わる傾向がある。一方、太陽周期が短いと、極大期は3~4年続くという。 ■オーロラは増加する NOAAの宇宙気象観測(SWO)プログラムを率いるエルセイエド・タラートは、記者発表の中で「今回の発表は、今がこの太陽周期で観測される太陽活動のピークだという意味ではない」「太陽は活動の極大期に入ったが、いつ極大のピークを迎えるかは今後数カ月~数年間は特定できない」と述べている。現状はっきりしたことが言えないのは、ピーク後に太陽活動の一貫した低下が観測されなければならないためだ。 極大期が1年ほどで終わっても、オーロラの発生頻度が減少するわけではない。実際には、むしろ増える可能性が高い。 「現在は極大期の2年目にあたり、さらに1年ほど極大期が続く見通しだ。その後は本格的な衰退期に入り、太陽活動は極小期に至る」とアプトンは説明。「衰退期は黒点の数が減少するという特徴があるが、極大期が終わったからといって、必ずしも影響が減少するわけではない」と話した。衰退期には、非常に強い太陽活動が起こる場合がある。 NOAA宇宙天気予報センター(SWPC)のプログラムコーディネーター、ビル・マータは「現在の太陽周期が終わった後は必然的に、より多くの磁気嵐が発生し、オーロラがかなり低緯度でも観測できるようになるだろう」と語っている。 ■太陽活動は過去23年間で最も活発に 現在、太陽活動はこの23年間で最も活発化している。10月3日には、第25周期で最大の規模となるX9.0の太陽フレアが発生した。 国際専門家グループ「太陽活動周期予測パネル」はNASAとNOAAの出資の下、1989年から太陽周期の予測を行っている。
Jamie Carter