子どもを助けるために車道へ!ドラマやアニメでは格好いいけど…自分からケガしにいってもドライバーの責任になる?
●過失割合はどうなる?
──ドライバーが賠償責任を負担する場合、過失割合はどうなるのでしょうか。 過失割合は本来個別具体的な事故の状況に応じて定まるものですが、公平性及び予見可能性の観点から、出版当時の東京地方裁判所民事27部の裁判官を中心としたグループが「東京地裁民事交通事故研究会」という名義で、典型的な事故についての過失割合の考え方を「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」として示しています。 説例の具体的な事故状況は不明ですが、最新版(2014年)の基準によると、たとえば歩車道の区別がある道路において道路を横断中の歩行者と道路を走行中の自動車が衝突した場合、歩行者の横断行為にも相当の危険性があることをふまえ、基本過失割合は「歩行者が20%」(自動車が80%)とされています。 その上で具体的な過失割合は事故が夜間か昼間か、事故現場が幹線道路か否か、住宅街か否か、横断禁止の規制があるか否かなどで変わってきますし、被害者に重大な不注意(過失)がある場合にはその点も斟酌されます。 このような個別具体的な事情をふまえて最終的な過失割合が定まりますので、一般論として述べられるのは、「基本過失割合がどう考えられているか」と「どのような事情が修正要素となるか」という程度です。説例でも具体的な事故の状況をふまえて過失割合を検討することになります。 なお、事故を防ごうとして被害に遭った場合、救助者の飛び出しという点が被害者側の過失として斟酌されるかどうかについては明確に述べた裁判例や文献は見当たりませんが、正当防衛(民法720条)の考え方を斟酌すれば、救助者側の過失を過剰に斟酌することは適切ではないと考えます。そうすると、説例での過失割合は通常の飛び出し事故と同じ程度となると考えてよいのではないでしょうか。