「正月映画」は消えたのか──ネット配信だけが要因ではない日本の生活様式の変化 #昭和98年
「正月くらい映画館へ」もほぼ消えた
配信も含め、映画を取り巻く環境が大きく変わった、ここ数年。クリスマスや初詣のような行事は今でも一般的に続いているが、「正月くらい映画館へ」という感覚は、ほぼ消えた。感覚ということで言えば、『男はつらいよ』で寅さんが日本各地を旅する設定は、「お盆と正月には故郷に帰る」という日本人の慣習にマッチし、そこが「正月映画」を成り立たせていた面もあるだろう。生活様式も、年中行事も“分散型”へシフトしている環境の変化も、正月映画の意味を終わらせた要因かもしれない。 近年は、年が明けた第1週から話題作が公開されるなど、年末年始の一区切りも消え、「正月映画」という言葉のガラパゴス化はさらに進みそう。長年の映画ファンにとっては少し寂しい気もするが、ふだん映画館から足が遠のいている人にも「年末年始くらいは映画館へ」と思わせる作品が毎年のように出現することだけは願いたい。
___ 「#昭和98年」は、Yahoo!ニュースがユーザーと考えたい社会課題「ホットイシュー」の一つです。仮に昭和が続いていれば、今年で昭和98年。令和になり5年が経ちますが、文化や価値観など現在にも「昭和」「平成」の面影は残っているのではないでしょうか。3つの元号を通して見える違いや残していきたい伝統を振り返り、「今」に活かしたい教訓や、楽しめる情報を発信します。