AI時代を生きていく子どもたち。「好きと得意」を伸ばす「認知特性」もヒントに子育てを【小児科医】
好きなことに向かっていくエネルギーにも個人差が。その子に合った対応が必要
――「これ」という目標に向かってどんどん突き進んでいく子もいれば、いろいろなことを試しながら自分の道を探していく子もいます。 本田 うちの子どもたちは、まさにその両方の見本のようです。 息子は「三つ子の魂百まで」のことわざどおり。小さいころから好きで得意だった洋服のデザインをずっと続けていて、今はベルギーにあるデザインの大学に行くために勉強中です。彼は常に一つの道を進んでいて迷いがない。とても認知特性に合った道を進んでいると感じます。やりたいことがはっきりしているから、親としても応援しやすかったんですよね。 娘の場合は、息子のように「ものすごくこれが好き!」がないまま成長しています。子どものころにもっと「一芸」を見つけてあげたらよかったかなと、今になって思います。だから今、娘の「やりたいこと探し」を応援しているところです。 子どもが「好き」に向かっていくエネルギーにも大小があるんだなって、息子と娘を見て思います。息子は好きなことにものすごいエネルギーを持って向かっていくタイプで、娘はそのエネルギーが小さいタイプです。 ――その子の持つエネルギーに合わせてかかわっていくことも大切、ということでしょうか。 本田 そう思います。いつ、どこで子どもの力が開花するかわからないし、エネルギーが小さめだと思っていた子も、何かのきっかけでエネルギーがすごく大きくなるかもしれない。娘にも「英語が好き」という「好き」があるので、それを生かせる進路を考えています。 子どもの持つエネルギーの大きさも含め、ありのままの子どもの姿を認め、子どもが自ら道を選んで進むのを手伝う。それが親にできるすべてではないかなと思います。 幼児期に好きだったことが、そのまま将来の道につながらないかもしれない。 でも、今何かに打ちこんでいる、一生懸命やっているという経験は、必ず子どもの力になります。 今の子どもたちは、AIがものすごい勢いで進化していく時代を生きていきます。そんな中で子どもたちを助けてくれるのは、「好きなこと」「得意なこと」だと思うんです。認知特性をヒントに、子どもが好きなこと、得意なことを見つけるのを手伝いつつ、子どもが「やりたい!」「これが好き!」と感じたことは、どんなことであってもママ・パパは応援してあげてほしいです。 「楽しい」と思えることを、思う存分やらせてあげ、たとえうまくできなくても、一生懸命取り組んだこと自体を認める。さらに、認知特性も参考にして、子どもが好きなこと、得意なことを見つけるのをサポートする。子どものやる気を育てるには、これらのことが大切なようです。