15歳・久保健英の主戦場はJ3に
FC東京U‐18(ユース)に所属する15歳のホープ・FW久保建英が、今シーズンは同クラブのU‐23(23歳以下)チームが参戦しているJ3を主戦場としてプレーすることが明らかになった。 久保は昨シーズンの終盤戦に続いて、ユース所属のままJリーグの公式戦に出場できる2種登録選手としてFC東京のトップチームに登録。12日に江東区夢の島競技場で行われたカターレ富山とのJ3開幕戦では、昨シーズンから通算して4試合目の出場にして初先発を果たした。 FC東京は今シーズン、FCバルセロナがその才能に注目した久保を含めた10人のユース所属選手を2種登録。カターレ戦ではそのうち5人が先発し、さらに3人が途中出場を果たした。先発メンバーの平均年齢は18.82歳で、富山を8歳近くも下回った。 そのなかで17歳のMF小林真鷹とともにフル出場を果たした久保の今後について、FC東京の大金直樹代表取締役社長は「軸足はU‐23に置いていきたい」と試合後に明言した。 「(久保)建英に限らず、基本的に2種登録した選手の優先順位として、U‐23の舞台で時間と経験を積んでいってほしいと考えています」 FC東京は昨シーズンも、ユースのDF岡崎慎とMF鈴木喜丈を開幕から2種登録してU‐23に専念させた。高校生相手ではなく、J3でプロと真剣勝負を演じたことで2人は急成長。今シーズンからトップチームに昇格している。 同じ図式が今シーズン、久保を含めた10人にも当てはめられた。他のJクラブとは一線を画す育成方法を実践できる理由を探っていくと、U‐23チームの立ち位置の違いに行き着く。 J3には昨シーズンから、FC東京以外にガンバ大阪とセレッソ大阪もU‐23チームを参戦させている。しかし、ガンバとセレッソがチームを分けて、練習も別々なのに対して、FC東京は全員が同じメニューを消化しながら試合前にメンバーを分ける。 編成は当然J1が優先されるため、けが人が多いときなどには、物理的にJ3に臨めない場合がある。そこで2種登録選手が積極的に起用されれば、必然的にユース以下の育成組織も底上げされていく。 これまでは「6‐3‐3」の学校制度に則って編成していた育成組織を、U‐23チームのJ3参戦を契機に実力主義に変えた。たとえば、ユースでは高校2年生や1年生の下級生が奮起する。さらにはU‐15(ジュニアユース)に所属する有望株を、中学卒業を待たずに飛び級でユースへ昇格させることもある。 育成サイクルを一気に加速させた過程で、久保も中学3年生への進級と同時にFC東京U‐15むさしを1年足らず卒業。飛び級で昇格したユースのレベルをも、実質的に1年で超えたことになる。