15歳・久保健英の主戦場はJ3に
2種登録選手は、J1やYBCルヴァンカップでもプレーできる。特に15日からグループリーグが始まる後者には、今シーズンから21歳以下の選手を最低1人、先発で起用することが義務づけられた。ならば、久保をJ1のリーグ戦やカップ戦で見られる日は近いのか。大金社長が続ける。 「建英だけではなくて、(2種登録選手の)全員に対して期待しています。彼らには『J1で戦うためにこのU‐23がある。ここでどれだけできるかが試されているんだよ』と言っています。ここで実績を残し、経験を積むことがひとつのステップになるので、しっかりと戦える選手に育ってほしいですね」 富山戦ではオーストラリア代表歴をもつネイサン・バーンズと2トップを組み、後半途中からはさらに攻撃的な布陣となった3トップの左に回った。もっとも、学校との兼ね合いもあって、全体練習ができたのは前日の一度だけ。前線へなかなかボールが入らず、久保が放ったシュートも1本だけだった。 「去年の3試合に比べると成長したかなと感じることはできましたし、逆にまだまだとも感じました。具体的な内容と言われると(答えるのが)ちょっと難しいんですけど、いろいろなものを感じられて、大きな収穫になったと思っています」 試合は0‐2で完敗したこともあって、試合後の久保は笑顔を見せなかった。それでも中村忠監督をして「ボールをほとんど取られることがなかった」と唸らせ、鋭いドリブルからバーンズへスルーパスを繰り出した場面もあれば、球際の攻防を制してこぼれ球を力強くマイボールにした場面もあった。 4月からは高校生になる。5月に韓国でU‐20、10月にはインドでU‐17と出場資格のある両W杯も控える日本代表の活動をも考慮して、出席日数が制約されることに理解のある全日制の高校を選んだ。成長の跡を見せる逸材に、FC東京の前身、東京ガスでプレーした経験をもつ50歳の大金社長も目を細める。 「昨シーズンはスピードやフィジカルの部分で『いつもと違う』と感じたと思うんですけど、U‐20代表の遠征や合宿で年上の選手ともプレーしたこともあって、J3でも慣れてきたという感じはしますね」 開幕からJ3を主戦場とすることで、昨シーズンはわずか104分間だったプレー時間の桁がひとつ増えるかもしれない。ちなみに、5月28日のギラヴァンツ北九州との第10節までに久保が初ゴールを決めれば、森本貴幸 (現川崎フロンターレ)のもつJリーグ最年少得点記録を13年ぶりに更新する。 (文責・藤江直人/スポーツライター)