弱小からの脱却。北海道コンサドーレ札幌の快進撃のなぜ?
昨シーズンはまさかのJ1残留争いを強いられたサンフレッチェ広島が、13試合を終えた段階ですでに昨シーズンを上回る勝ち点34を獲得。首位を快走している今シーズンのJ1戦線で、開幕前の芳しくない下馬評を覆す快進撃を演じているチームがもうひとつある。 これまでJ1とJ2を行き来してきた北海道コンサドーレ札幌が、シーズン初勝利をあげた第4節を皮切りに、クラブ記録を大きく更新する10試合連続無敗(7勝3分け)をマーク。順位を3位にまで上げて、13日には敵地・味の素スタジアムで2位・FC東京との上位対決に臨む。 これまでのコンサドーレの最高位は、J1残留を果たした2001シーズンと昨シーズンの11位。その間に2008、2012シーズンもJ1に挑むも最下位でJ2へ降格し、特に後者は勝ち点14、年間28敗、総失点88、得失点差マイナス63など、J1のワースト記録を軒並み塗り替えた。 この屈辱的なシーズンが、実はコンサドーレのターニングポイントになっている。 翌2013年3月に代表取締役社長に就任したクラブOBの野々村芳和氏(46)は、常にJ1のトップ10に入る目標を立てたうえで、クラブの経営規模を着実に拡大させてきた。 そして、クラブ創立20周年を迎えた2016年には、ホームタウンを札幌市から「札幌市を中心とする北海道」に変更。チーム名称にもコンサドーレ札幌に「北海道」をつけて、博報堂DYメディアパートナーズとクラブビジネス戦略パートナー契約を結び、広大な大地に眠る潜在能力を開拓してきた。 地道な努力は数字に表れている。野々村社長が就任した2013年度の営業収益10億7100万円が、Jリーグ側から開示されている最新の2016年度には19億200万円にまでアップ。チーム人件費も3億5900万円から7億300万円とほぼ倍増している。 毎年増える強化費は補強だけでなく、アカデミーにも先行投資されてきた。今シーズンのコンサドーレの陣容を見れば、21歳のDF進藤亮佑、19歳のFW菅大輝がリーグ戦の全試合で先発を果たしている。進藤は2015年、菅は2017年にアカデミーから昇格を勝ち取っている。