「幸せ=お金」の考えは不幸を呼ぶ 幸せな老後を送る真の4箇条
貯蓄額の多さよりも幸せになれる4つの条件
『大乗荘厳経論(だいじょうしょうごんきょうろん)』という仏教の経典の中に、人間が幸福になるための4つの要素が説かれています。 1.健康第一の利 仏教での「利」は、お金ではなく「健康」です。健康に勝る利得はありません。世界を見渡せば高収入を得続けている人もいますが、多くの人々はたとえ一時的に高額な稼ぎを得たとしても、続けていくのはなかなか困難でしょう。そうやって一気に稼ぐよりも、健康な体を維持し、長く現役で働き続けるほうが生涯年収は多くなる場合もあります。健康で長く働き続けられる体を持つことこそが利得なのです。 2. 知足第一の富 知足とは、「足るを知る」ということ。富を得るには「収入を上げる」ことと「経費を下げる」ことが必要ですが、そう簡単に給与は上がりませんから、まずは自分の支出を減らしていくのが先決です。支出を減らすには、自分の足るを知らねばなりません。 今はあらゆるものが手に入る時代です。だからといって今の生活に満足せず、誰かが持っているものを羨ましがったり、それにならって自分も買ったりしていては、あっという間に自分の稼ぎの範囲を超えてしまいます。華美なぜいたくを求めず、等身大の生活をしていくことが、実は富につながるのです。 3.善友第一の親 仏教では、社会の中で関わる人々をすべて「友」と呼び、互いに助け合う仲間としています。その中で尊敬できる友を持て、という教えです。100人も200人もいなくていい。1人でも2人でもいいから、尊敬できる人と一緒にいられるのは幸福であると説いています。仕事でもプライベートでも、尊敬できない人といる時ほど苦痛なことはありません。たとえ収入は少なくても、「一緒に仕事がしたい」と思えるような人に出会い、共に歩むことができるのは、幸せなことといえるでしょう。 米ハーバード大学が80年以上にわたり、2000人以上の卒業生を追跡調査した「成人発達研究」によれば、卒業後に最も健康で幸福であったのは、高収入や社会的成功を収めた人ではなく、家族や友人と信頼し合い、友好な人間関係を築けた人だった、と結論づけています。家族が亡くなってしまっても、友人や、かつての仕事仲間たちと共に支え合って生きた人のほうが幸せだと回答したそうです。一方で、心身の健康を大きく崩す要因となったのは、「慢性的な孤独感」だったと発表しています。 4.涅槃(ねはん)第一の楽 涅槃とは、心の安定です。年間で例えると、大雨が降ったり雷が鳴ったりする日もあるけれど、総じて気分よく過ごせる穏やかに晴れた日も多くあります。怒ったり、悲しんだりといった感情の乱高下は、心身にストレスを与えますから、無駄な浪費や人間関係の破綻まで引き起こしかねません。そう、人生の目的はお金を稼ぐことではありません。心を育て安定させ、日々の生活を楽しみ、明るく生きることなのです。