【光る君へ】宣孝から紫式部へのプロポーズ この結婚が『源氏物語』のきっかけになった!?
NHK大河ドラマ『光る君へ』第24回では、藤原宣孝(佐々木蔵之介)がヒロイン・まひろ/紫式部(吉高由里子)にプロポーズ。「忘れえぬ人」・道長(柄本佑)への想いも含め、丸ごと受け入れようとする宣孝の包容力が感動を読んだ。宣孝と紫式部は史実でも夫婦となるのだが、それによって紫式部の人生はどう変わったのだろうか? じつは、宣孝の存在は『源氏物語』執筆にも大きく影響しているのである。どういうことか、見ていこう。 ■宣孝の死、その悲しみが『源氏物語』を生んだ 紫式部は父・為時にお供して越前国へと向かったが、1年余りにして、紫式部だけが京の都へと立ち戻っている。その理由は、かねてより求愛されていた藤原宣孝との婚姻を受け入れるためであったと見なされることが多いようである。 宣孝といえば父の同僚で、おしゃれなイケメン親父ではあるものの、紫式部とは20歳も歳の離れた受領階級の御仁。気位の高い紫式部にとって、さしたる魅力を感じるものではなかったのかもしれないが、父の長い散位の煽りを受けて婚期を逃してしまった紫式部としては、ありがたい話であった。 二人の間に賢子(大弐三位)という一粒種が生まれたものの、1001年に流行った疫病によって宣孝が卒去。3年にも満たない結婚生活であった。 その哀しみを紛らわすかのように書き始めたのが、『源氏物語』である。当初は、身近な人にだけ見せて批評し合っていたものの、次第に評判となって、とうとう道長の耳にまでその名が知られるようになった。そして『源氏物語』の存在をきっかけに紫式部は道長の長女・彰子に仕えることになるのである。 宣孝との結婚生活は短いものであったが、彼は紫式部の人生、そして『源氏物語』の誕生に欠かせない存在であったと言える。
藤井勝彦