いすゞエルフミオ公道試乗レポート!! AT限定普免で運転できるディーゼルトラックの実力を探る
ついに、いすゞの小型トラック「エルフミオ」を公道で試乗することができた。軽量な排気量1.9リッター新開発ディーゼルエンジンの採用により、普通免許でも運転可能な車両総重量3.5トン未満で積載量1トンを実現させた、新時代のトラックの走りとは? 【画像ギャラリー】新時代のディーゼル小型トラック!いすゞエルフミオを公道で試す(10枚) 文・写真/トラックマガジン「フルロード」編集部
エルフミオの『新しさ』
身近な働くクルマである小型トラック、いわゆる『2トン車』は、過去の運転免許制度だと普通免許で運転できる「身近なトラック」だった。しかし現行制度では準中型免許、場合によっては中型免許が必要で、免許取得にはさらなる出費と時間を要することから、『2トン車』を運転可能な人が将来減少する運命にある。 そこで、日本を代表する『2トン車』エルフを擁するいすゞは、積載量こそ1トンに半減するものの、普通免許しかもAT限定普免の取得者でも運転可能で、『2トン車』の一部業務を分担できる耐久信頼性を備えた小型トラックの開発を進めてきた。それが2024年7月にデビューしたエルフミオである。 厳密にいえば、(現行普免で運転できる)車両総重量3.5トン未満の1トン積トラックは以前からある。しかし「最新排ガス規制に適合するオートマのディーゼル車」は存在したことがない。エルフミオのハードウェア面での特徴は、それを初めて実現させた点にある。 エルフミオではまた、テレビCMに人気女優を起用していることも話題となった。これは、女性ドライバーの登用拡大に応えるトラックというメッセージであり、「男女を問わない運転のしやすさ」を重視していることの表れでもある。こちらはソフト面の特徴といえるだろう。 本誌のようなトラック専門メディアにとってももちろん、新しい時代のトラックとして、少なからず関心を寄せてきたクルマである。
限られたサイズで最適なドライビングポジション
試乗したエルフミオは「シングルキャブ・フルフラットロー・後輪ダブルタイヤ・最大積載量1.25トン平ボディ」というモデル。エルフミオには現在11のバリエーションがある中で、試乗車は2トン積エルフの売れ筋と同一(もちろん積載量は異なるが)で、もっともオーソドックスな車型といえる。 ちなみに「フルフラットロー」とは、同じサイズの小径タイヤを前後に装着する低床シャシーを指し、「平ボディ」とは架装している荷台形状のことである。 2トン積エルフと共通の新開発キャビンは、荷台長3m(10尺)の平ボディ架装時に4ナンバー(小型貨物車)登録できるサイズになっている。そのため必然的に室内空間は限られるのだが、キャビン骨格の設計、インパネの形状、ステアリングホイールやシートの調整量、フットペダルの相対位置などを徹底的に最適化したという。 実際に座ってみると、決して広々とした感じではないが、身長が168cmの筆者も183cmの編集部員も、しっくりと運転できるポジションが得られる。そこからの直接視界とサイドミラー視界も良好。基礎的な運転環境の改善を、地道に積み上げてきた成果がうかがえるような運転席だ。 メーターパネルは見やすく機能的なデザインで、コラムレバーの配置は常識的なもの。ルームミラーはバックカメラの広角映像を表示する。インパネにずらりと並んでいるスイッチホールは、架装やADASの追加機能に備えたもので、平ボディ車だと実際にスイッチになっている箇所は少ない。標準のAM/FMラジオはBluetooth対応で、USBタイプAのソケットもついている。