在日米軍基地の戦闘機配備が変わる!「日米中空中決戦」徹底シミュレーション
去る7月3日、米国防総省が在日米軍基地の戦闘機更新計画を発表した。具体的には、青森県の三沢基地に現在配備されている36機の「F-16」がステルス戦闘機「F-35A」48機に、さらに沖縄の嘉手納基地では撤退した「F-15」48機に代わって、最新鋭の「F-15EX」36機が配備されるという。 【写真】三沢基地に配備されるF-35A 航空自衛隊那覇基地302飛行隊隊長を務めた元空将補の杉山政樹氏は、統合司令部の最初の仕事に関して、以前の配信記事でこうコメントしていた。 【米空軍は貴重な航空戦力が"最初に殴られないこと"を重視するので、中国との最前線に常駐することをよしとしない考え方があるということです。 これは個人的意見ですが、この流れに一定の歯止めをかけることが、新たなカウンターパートとなる統合作戦司令部の仕事だと思うのです】 これに米空軍が応えてくれたのか、強くなって戻ってくるのだ。世界中の戦闘機を撮り歩くフォトジャーナリストの柿谷哲也氏に、この陣容について話を聞いた。 まず「F-15EX」とはどんな戦闘機なのか? 「新型機の開発費を抑えて、既存のF-15をベースにバージョンアップさせた戦闘爆撃機です。米本土を守るF-15C/Dの後継と、前線に出るF-22とF-35Aを補完し、スタンドオフミサイル(長射程ミサイル)で増強します。 F-15EXは、中距離空対空ミサイルAIM-120 AMRAAM(最大射程180km)、またはAIM-9サイドワインダーを最大12発搭載することができる。さらに、将来的にAIM-120を16発搭載可能にするという計画もあります」(柿谷氏) 戦闘機としては、最大16発のAIM120を搭載する空中ミサイル基地として稼働する。 「また、AIM-120を4発搭載し、精密攻撃用に16発のGBU-39爆弾(重量130kg 射程110km、厚さ1.8mのコンクリートを貫通)、または精密誘導装置『JDAM』を取り付けた4発の2000ポンド(約900kg)爆弾と、増槽(兵器外部に取り付けられる追加の燃料タンク)2本など、多彩な搭載構成があります」(柿谷氏) 爆撃機としては、射程110kmの精密誘導滑空爆弾を計約2トン搭載可能。または約1トンの爆弾を4発搭載可能というすさまじい破壊力のようだ。 これが嘉手納基地に32機来れば、長距離ミサイル・空中艦隊としては計512発と恐ろしい戦力となる。 「嘉手納基地には同時に、F-22、F-35Aも展開しているはずなので、攻守ともに組み合わせた多様な戦術を選べます」(柿谷氏) 米中の力関係は激変しそうだ。さらに、対中国空戦で後方に控える三沢基地には、48機のF-35Aが投入される。破壊力はどんなものなのか。 「F-35Aは最大搭載重量が18000ポンド(8200kg)。機内の兵装搭載ステーションは最大5700ポンド(2600kg)、外部ステーションだけでも最大1万5000ポンド(6800kg)あります。 種類はJDAM、各種精密誘導爆弾、AGM-154 JSOW、GBU-39爆弾、GBU-53/B ストームブレイカー精密滑空爆弾などが搭載できます」(柿谷氏) F-15EXは翼が巨大で、対空レーダーにすぐ探知されるが、F-35Aはステルス戦闘機なので探知される心配はない。計48機のF-35Aから、総計約125トンの爆弾を投射可能だ。