駿河湾限定の恵み、甘くてぷりぷりのサクラエビ かき揚げでも生でも楽しめる
こうばしさ満点の「かきあげ丼」(1000円)は、揚げたてが2枚、器からはみ出んばかりのボリュームで盛られる。漁師直伝の甘辛いたれがかかったかき揚げにかぶりつく。生食とは一味違うサクサクした食感で、箸が止まらなくなった。紺碧(こんぺき)の駿河湾を眺め、潮風に頰をなでられながら、ここでしか出合えない海の恵みが堪能できた。
■漁獲量減少から復活の兆し
残念なことに、かつての獲りすぎと昨今の海洋環境の変化により、獲れたてに出合うことは年々難しくなっている。
静岡県水産・海洋技術研究所によると、最盛期には3500トンほどあった年間漁獲量は、平成20年ごろから1000トン台、30年には312トンと大きく落ち込んだ。対策として同年、漁の区域を絞り、稚魚は獲らないといった自主ルールを決め、資源保護に努めた。ここ数年は漁獲量が戻りつつあり、令和5年にようやく501トンまで回復した。
「浜のかきあげや」も、漁獲量減少の影響を受けた。かつては漁期に週6日店を開けていたが、不漁とコロナ禍による休業を経て、金~日曜と祝日のみの営業に。最盛期には年間8万~10万人あった客数も、今では5万人ほどだ。それでも駐車場は県外ナンバーの車で埋まり、店の前には長い行列ができる。
漁期でも強風や高波があれば漁に出られない。今シーズンも、解禁日からの17日間に3日しか出漁できていない。由比港漁協の宮原淳一組合長は「漁は大変厳しいが、サクラエビは少しずつ階段を上るように増えている」と、今後に望みをつないでいた。(田中万紀)