《腸漏れ注意報》日本人の7割以上がリスクあり「やる気出ない、太りやすい」の現代病にご用心
「腸の粘膜にすき間ができてバリア機能が下がり、全身に不調が出る症状。食生活を中心とした腸活で腸に負担をかけない生活を心がけて」そう話すのは10万人の腸を診てきた消化器専門医。患者数が増えつつあるという、その聞きなれない「腸漏れ」、予防と対策を伺いました。 【画像】日本人の7割以上にリスクあり “腸漏れ”危険度チェックリスト 近年、タンパク質不足によって心身の健康が損なわれることが広く知られるようになった。そのおかげか、今年8月、厚生労働省から発表された令和4年「国民健康・栄養調査」によると、中高年世代の1日当たりのタンパク質摂取量は平均60g強。女性(18歳以上)の推奨量である50gを超えており、タンパク質不足は解消されつつあるように見える。 「ところが、当院に来られた患者さんの栄養状態を詳しく検査すると、約8割の人がタンパク質不足でした」 と話すのは、たまプラーザ南口胃腸内科クリニック院長の平島徹朗先生。
隠れタンパク質不足の可能性
「これらの方に食生活を伺うと『肉も魚もしっかり食べている』と答える人がほとんど。このことから、多くの人がタンパク質をとっているのに吸収されない〈隠れタンパク質不足〉の状態にある、と私は考えています」(平島先生) なぜそんなことが起こるのだろうか? 平島先生と福岡天神内視鏡クリニック院長の秋山祖久先生にその原因と対策を教えてもらった。 「隠れタンパク質不足の主な原因と考えられるのは〈腸漏れ〉です。私たちが食べた食物は、消化酵素によって分解され、腸から吸収されます。このとき、腸が正常なら、すき間なく並んだ腸粘膜の細胞から栄養素が選択的に吸収されますが、腸に異常があると腸粘膜の細胞にすき間が発生。そのすき間からアレルギーの原因物質、ウイルスなど本来、ブロックされるはずの身体に不要な物質が漏れ出して吸収され、そのぶん、栄養素が正しく吸収されなくなるのです。この状態を〈リーキーガット症候群〉、通称〈腸漏れ〉といいます」(秋山先生)
“腸漏れ”の原因は
必要な栄養素が吸収されない上に、有害な物質まで入ってくるのだから、腸漏れが健康に与える影響は大きい。 「身体を構成する約60兆個の細胞は、タンパク質を材料に絶えずつくり替えられています。腸漏れがあると、その材料が不足。細胞の新陳代謝が正常に行われなくなり、内臓の機能低下、貧血、肌あれや髪のパサつきなど、さまざまな部位に不調が起こりやすくなります」(秋山先生) 腸漏れを起こした腸を内視鏡検査で診ると、未消化の食べ物がベットリ張りついていることも珍しくないそう。 「アレルギーの原因物質やウイルスなどが入り込み、体内のあちこちでも炎症が発生。頭痛や腹痛、だるさ、疲労感など不快な症状を招きやすくなります」(秋山先生) そもそも健康だった腸が、腸漏れを起こすのはなぜ? 「その原因は主に2つ。1つ目がタンパク質不足で、細胞の材料が不足することによって、腸粘膜の細胞の新陳代謝がスムーズに行われなくなり、細胞間にすき間が生じます。2つ目が腸内環境の悪化。悪玉菌が増えると、腸粘膜が傷つき炎症が起こりやすくなるのです。逆にいうと、この2つの原因にアプローチすることで、腸漏れはよくなります」(平島先生) 平島先生と秋山先生は、研究データをもとに腸漏れを改善する方法を自分自身で実践して検証。多くの患者さんにもそれらを試してもらった。 「その結果、まず〈漏れない腸〉づくりを目指し、その後にタンパク質摂取を心がけると、腸漏れが改善しやすくなることがわかりました」(秋山先生)